政経トピックス 

(BMWから)


(2010年4月号)

<通貨政策、景気調整へ>

景気過熱を受けて今年のインフレ予想が目標中心値を上回りGDP成長率が上方修正される中で、中銀は政策金利の大幅な引上げに踏み切り独立性を証明した。主に選挙の年の政府支出拡大で税収拡大にも拘らずプライマリー収支が赤字に転じたこともインフレ・金利上昇要因となっている。金利が上昇サイクルに転じたことで生産部門では反発する声も出ているが、金融市場では『高成長の持続性を維持する条件が未整備のブラジルでは必要な措置』とする見方が大半を占める。
 

(2010年3月号)
   
<経済成長ピッチ調整へ> 

インフレ均衡を保ちながら経済の持続的成長を維持して行くには急ピッチの成長は好ましくないとする見方が高まる中で、4月の基準引き上げは確実となっている。最近緩やかながら投資の回復が観測されているが、投資ではなく官民の貯蓄を犠牲にした消費拡大が齎す経常赤字拡大は政府経費拡大と共に懸念要因とする指摘が高まりを見せている。政治的思惑が外れたMeirelles 中銀総裁はルラ大統領の意思を汲み留任の意向を表明。


(2010年2月号)

<中銀、流動性引き締めへ インフレ抑制手段とも>

経済成長リズム鈍化の兆しも観測されている中で、中銀は流動性引き締めを目的とした金融機関の強制預託金引上げを発表した。金融危機到来時に緩和した流動性の調整が目的としているが、市場ではインフレ抑制のための基準金利引上げを延期する手段とみる向きもある。それに対しMeirelles中銀総裁は、選挙に左右されることなく金利引上げは技術的根拠のみをベースに実施するとした認識を表明。同措置発表に伴い、既に先物金利の上昇が観測された。悪化する経常収支は今年の主な懸念要因の一つに。



(2010年1月号)

<通貨政策舵取り、大蔵省と中銀の攻防>

アナリストの一部が今年のGDP成長率を6%超と予測するなど短期的な基準金利引き上げは免れない状況の中で、マンテガ蔵相は可能な限りの手段を用いて中銀の金利引上げを事前に阻止する動きを見せている。実質的なプライマリー黒字目標の達成、ガソリン税の引下げ、景気対策を目的とした減税措置の廃止などにより経済成長のコントロールを試みる。経済成長がインフレに与えるインパクトに関し、過度の成長はないとして選挙の年の金利引上げを阻止したいマンテガ蔵相と、給与・小売・融資の成長は持続的帯域を越えたとするMeirelles中銀総裁の攻防が鮮明に。


(2009年12月号)

<経済過熱でインフレプレッシャーの懸念>

内需拡大を背景に製造業の稼働率が08年半ばのピークに迫る中で、中銀は投資動向をフォローして行くとするも、インフレプレッシャーを抑制する手段として基準金利引上げを示唆すると共に他手段を用いた流動性引締めの可能性が高まっている。ブラジルソブリンファンド(FSB)の規制化を受けて国庫によるドル買いが可能となったことに関して、大蔵省は中銀の通貨政策を破壊するような中銀との対立は有り得ないとするも、新たなプレイヤーの参入による今後の為替動向に市場の注目が集まっている。


(2009年11月号)

<消費促進措置延長へ>

マンテガ蔵相はフレックス車、白物家電、建材、家具などを対象に税制優遇措置の延長及び新設を発表した。民間部門の間で与党大統領候補の基盤を固めるためのルラ大統領の政治的思惑があり、10年は5%台の経済成長が見込まれる中で家計消費を促すための『反循環的』経済措置採択の矛盾性が指摘されている。レアル高抑制を目的として先般導入した海外投機資金に対する金融取引税(IOF)を補足・是正するため新たに海外預託証券(DRs)に対し1.5%IOF課税を発表。レアル高と景気回復を受けて貿易収支が圧縮傾向にあり、経常収支悪化の深まりが懸念要因となっている。


(2009年10月号)
    
<レアル高対策にみる攻防>
マンテガ蔵相はレアル高を抑制する手段として、定期・株式市場に流入する海外投機資金に対して2%の金融取引税(IOF)の課税を発表した。歳入不足を補う目的もあったとされるが、大統領選挙を来年に控え、中銀の通貨政策に対抗する政治的決断との指摘もある。政府の積極財政のつけが今年のプライマリー黒字目標の縮小を招いた後のレアル高を巡る議論において中銀は防御的だ。世界的ドル安傾向の中で人工的な操作では解決できないとする中銀に対し、蔵相は効果の薄さを認識していたにも拘らず中銀の『透明性』を断ち切る必要があった。税負担軽減措置等を重視する中銀の主張は正しいとするも、大統領府・大蔵省は過剰投機を抑制する切札があることを市場に伝えるのが目的だったとされている。
   


(2009年9月号)

<財政均衡の持続性が焦点に>
財政政策に関するコメントには常に控えめな中銀が、インフレレポートで政府支出拡大は中期的にインフレプレッシャーとなるリスク要因と指摘したことで大蔵省との論争が再燃している。公務員給与引上げなどによる政府支出拡大は構造的に財政均衡の持続性を脅かすとしている。一方で消費の促進を柱とした危機対策による『新たな経済成長サイクルの始まり』にもかかわらず固定資産投資は前年比17%の落込みが観測されており、インフレ要因となる可能性もある。大蔵省は、(来年の大統領選挙を控え)支出拡大を維持する一手段として算出方法の調整でプライマリー収支目標の引下げを試みる動きに市場の批判の声が高まりを見せている。


(2009年8月号)

<通貨政策、政治的プレッシャーの懸念も>
レアル高による輸出減退が投資を遅らせ経済回復の勢いを妨げるとの批判もあるが、鉱工業生産は7ヶ月連続でプラス成長を記録するなど内需主導で景気が回復基調にあることを裏付けている。一方で来年の大統領選挙に向けた金利引き下げプレッシャーも予想され更には中銀総裁が州知事選挙出馬(3月に辞任)を表明していることも金融市場の動揺を招く恐れがあるとした懸念も出ており、今後の通貨政策に注目が集まっている。


(2009年6月号)
  
<インフレ目標値設定、政治的決断か>
政府は、税収低下にも拘らず自動車・資本財・白物家電等の分野を対象にIPI低減措置延長等による支援措置を維持・発表した。通貨政策面では、ルラ大統領の後押しもあって経済スタッフの反対を押し切って11年インフレ(中心)目標値を10年インフレ予想を上回る4.5%に設定。選挙に向けて『余裕』を設ける意図が明らかとして、レアルプランの成果をリスクに晒す可能性があると批判されている。中銀は、基準金利引下げ効果を見極める時期にあるとして引下げサイクル終了の可能性を示唆。


(2009年5月号)

<景気回復の兆し レアル高を巡る議論再燃>
中銀の為替市場介入にも拘らず生産部門や株式市場等への外貨流入が加速しレアル高要因となっているが、あくまでもインフレ目標値追求に慎重な中銀に対し大蔵省は積極的な金利引下げと外貨準備高引上げの必要性を主張するなど政府内で議論が再燃している。小売部門を始め工業部門全体に緩やかな回復の兆しを観測。中間財、資本財部門は未だ調整段階にあるが、第3四半期工業生産は3%の過去10年の平均レベルに回復するとした予想も。長期自動車ローンの復活も観測され消費者信頼度が上向いた。


(2009年4月号)

<財政政策の緩和>
政府はプライマリー黒字収支目標を対GDP比3.8%から2.5%へ引下げた。景気促進などの支出拡大を可能とするためであり、既に景気回復や主に個人向け貸出しに復活の兆しが観測される中で、中銀の基準金利引下げは慎重なものとなった。国内経済活性化と雇用創出を謳った100万軒の大衆住宅プログラムは10年に向けた労働党の大統領選挙キャンペーンの柱とする狙いが伺え、政治的色彩の濃い措置として批判の声が高い。市場(Focus)の09年GDP成長率予想がマイナス0.39%へやや改善。


(2009年3月号)
     
<低金利局面での新たな課題>

主に中堅銀行の流動性を潤し銀行間の競争を促進することでスプレッド低下を図るべく、政府は長期預金保証額を60千レアルから20百万レアルへ引上げた。年内に一桁へ基準金利低下が見込まれる局面にあって、価格インデクセーションのなごりの払拭なども新たな課題となっている。政府は更に解雇を回避する手段として自動車産業支援措置の延長や建材の税制優遇措置を発表する一方で、減税分を部分的にカバーすべく煙草の税率引上げを発表。景気悪化に伴う失業の懸念から、連邦政府・ルラ大統領の支持率が共に大きく低下した。


(2009年2月号)

<税収低下が危機対策の足かせに>
政府は税制優遇措置、直接投資、中銀による金融市場の流動性緩和を目的とした資金注入など一連の危機対策を講じてきたが、プライマリー黒字目標達成が危ぶまれる大幅な税収低下を受けて、危機対策の見直しを余儀なくされている。このような状況下、積極的な基準金利引下げの必要性が指摘されているが、公務員給与引上げなどで拡大する政府経常支出は中銀の措置を妨げる一要因となっている。新車販売、電力消費などは上向いたが、業種によってバラツキがあり未だ慎重な見方が多い。


(2009年1月号)

<鉱工業生産に打撃>
市場予想を上回る鉱工業生産の激しい落込みと投資サイクルの中断がIBGEの統計で示された。自動車や電力関連部門の稼働率に微少ながら回復も観測(FGV)されるが、全体的な感染の広がりが人員削減の懸念を強めている中で09年GDP成長率が下方修正される傾向にある。危機を甘く見た政府の対応の遅れが批判されているが、ルラ大統領の支持率は依然として高く、回復への信頼の厚さが示されている。政府は公共投資強化や輸出部門に対する支援措置を検討しているが、産業界やエコノミストの間では基準金利引下げを加速する必要性を指摘する声が高まっている。


(2008年12月号)

<実体経済支援措置、解雇の懸念>

政府は新車の工業税引下げや中産階級の消費を促す為の個人源泉所得税引下げを含む一連の減税措置を発表した他、企業の外貨返済資金として外貨準備高を金融機関経由で貸付ける制度の導入を検討している。これは、中銀主導の金融支援から実体経済支援へ政府のアクションが第2段階へ移行したことを意味し、第3段階は不安な情勢が投資や消費を落込ませる悪循環を回避することにあるとされるも、解雇を回避するための労働条件緩和に向けた労使交渉に注目が集まっている。


(2008年11月号)
   
<インパクトの度合いを注視・解雇懸念の強まりも>

政府の救済資金支援を受けて流動性緩和の兆しも観測されるが、政府経済スタッフは09年の成長リズムを見極めた上でIOF(金融取引税)の追加引下げや個人所得税見直し等も検討するとしている。工業生産が落込み解雇の懸念が強まる中で、市中銀行の貸出は期待を下回っているとして政府の貸出活性化の『処方箋』は誤りとする指摘も出ている。CNIアンケート調査で、企業の運転資金調達が困難になったことや販売の落込みなどで57%が09年投資計画をキャンセル又は無期延期した結果が示された。


(2008年10月号)

<金融危機、景気対策優先へ> 世界的な金融危機が齎した流動性危機への緊急対策として、政府は金融機関の強制預託を更に緩和すると同時に被害が最も懸念される農業部門を含む市場の流動性緩和を試みるも、金融機関の貸し絞り等から融資に依存する自動車などの需要が落込んだ。トレードライン供給に平常化の兆しも見られるが、企業の運転資金のコストアップは避けられない状況にある。j高によるインフレプレッシャーも既に観測されているが、中銀は基準金利を据置き今回は景気対策重視の決断を下した他、政府は09年プライマリー黒字目標の緩和を決定した。


(2008年9月号)
    
<国際金融危機、融資ラインに影響>

国際金融危機を受けて、トレードラインが枯渇し輸出前借りがほぼ不可能になった他、運転資金調達コストが上昇するなど企業への影響が観測されている。中銀は強制預託金を見直すことで流動性を緩和した他今後の基準金利引上げも前倒しで緩和する可能性が高まっているが、世界経済減速によるコモディティ価格の低下など輸出への影響や今後の新規プロジェクトへの対伯直接投資流入の落込みも懸念され、09年に向けた不透明感が高まっている。


(2008年8月号)
   
<財政目標とインフレ目標(通貨政策)>
工業生産の成長リズムの減速が観測されるものの、需要の勢いや工業部門の稼働率などから基準金利引上げの継続が予測される中で、マンテガ蔵相は債務に及ぼす金利のインパクトを把握する必要があるとして、今迄のプライマリー収支ではなく10年以降名目収支を指標とする方針を表明し会計基準の変更を発表した。現行通貨政策に批判的な蔵相の動きに、中銀の独立性を正式に確立する必要性が指摘されている。金利引上げ緩和(需要抑制)の一手段としてリース契約をIOF課税対象とする試みも。


(2008年7月号)

<インフレ抑制、通貨政策と財政政策の足並み揃わず>
インフレ再燃が懸念される環境の中で、中銀の通貨政策のみに依存し公共部門の支出削減がなされないインフレ抑制措置は、過剰な金利引上げの犠牲を払うことになるとした批判の声が市場で広がりを見せている。工業生産は自動車販売などの耐久消費財部門が寄与し上期は4年振りの高成長を記録する等、生産や投資計画に金利引上げの影響は未だ観測されていない。


(2008年6月号)

インフレ抑制と安定成長が課題
原油高騰などの世界的なインフレ圧力を背景に国内価格プレッシャーの広がりが観測されインフレスパイラルの懸念も浮上する中で、上期輸入が前年比50%増と輸出の約2倍の成長率を記録する等レアル高が経常収支の悪化を齎している。経済成長の牽引車となってきた個人向け貸出しに金融引締め効果が微小ながら観測されるも、インフレ抑制手段としての金利引上げはレアル高要因でもあることから、インフレ対策と共に持続可能な経済成長の誘導が課題となっている。


(2008年5月号)

財政と通貨引締め政策へ
インフレ再燃抑制の為の基準金利引上げによる金融引締め強化が避けられない状況にある中で、マンテガ蔵相はレアル建てによるソブリンファンド設立を発表した。プライマリー黒字収支の引上げを意味する同ファンド設立は、中期的なインフレ抑制効果が期待できると共に対GDP比債務残高縮小に貢献するものとされている。S&Pに次ぐFitch格付け機関による伯ソブリンリスクのグレードアップを受けて、短期運用資金や対伯直接投資に加え国際市場での資金調達による外貨流入が今後更に加速する可能性が高まっている。


(2008年4月号)

<レアル高環境の深まり>

中銀が基準金利を引上げた事に加えS&P国際格付け機関がソブリンリスクを投資グレードへ引上げた。中銀の通貨引締めサイクルは短期的で経済成長に多大な影響を与えるものではないとの見方が多いが、レアル高が深まる状況において金融市場への外貨流入が今後更に加速する傾向にある。既に貿易赤字や利益配当送金拡大が急速な経常収支の悪化を招いており、投機等の外貨流入に対する規制導入を検討する大蔵相を中心とした動きが観測されている。


(2008年3月号)
   
<国内需要抑制への動き>

インフレ予想が目標を上回る傾向にある中で、金利引上げにより需要・供給の不均衡を是正しあくまでもインフレ目標を追求する方針を示す中銀に対し、レアル高を受けて悪化する経常収支を危惧し金利引上げ阻止を試みるマンテガ蔵相や、『インフレ目標』に代る通貨政策として『為替目標』を推奨する政府内の動きも観測されている。鋼材値上げの転嫁を懸念する蔵相は経済成長の牽引車である
自動車販売を抑制すべくローン返済期間の規制も試みたが実施には至らず。大統領選挙に向けて経済成長を持続させたい思惑がある。
    


(2008年2月号)

<極端なドル安、通貨政策見直しの必要性も
中銀は外貨準備高や民間部門の資産を含むブラジルの外貨資産が初めて官民外債額を上回ったと発表した。長年に渡る債務返済問題などの脆弱性の克服を意味する歴史的事柄としている。格付け機関による年内の投資グレード供与の可能性も出ている中でドル安の深まりが観測され、金利引下げの必要性が改めて指摘されるなど為替を巡る議論が再燃している。


(2008年1月号)

<流動性引締めへ>
税収補填を目的とした
IOF(金融税)税率引上げを含む一連の措置に加え、中銀のリース事業者を対象とした強制預託などの流動性引締め措置発表は、金融機関の貸出金利の上昇を齎すものとして今後の貸出拡大ピッチ減速が予想されている。インフレ推移次第では更なる強制預託金引上げが予想される他、米金融危機の影響による資金調達コストプレッシャーも懸念される中で今後の中銀の舵取りに注目が集まっている。


(2007年12月号)

<インフレが最大の不安要因>

貸出しの活性化を原動力とした経済の過熱がインフレ環境の悪化を招いているとして、中銀は金利引下げに対する慎重な姿勢を維持。投資率は拡大傾向にあるも短期的な供給ネックを懸念。今迄の金利引下げの余韻が08年経済成長を促して行くとみられているが、
CPMF延長法案の否決を受けて大蔵省が発表した金融税引上げを含む一連の措置は、税収確保以外に景気減速効果も踏まえたものとされている。
    



(2007年11月号)

<通貨政策変更の試みか>
経済活性化に伴う税収拡大を受けてプライマリー黒字目標はスムーズに達成可能となったものの、債務の金利負担拡大や連邦政府の人件費等の経常的支出拡大などは国際危機への脆弱性を高めるものとした指摘が目立っている。更に、拡大する行政の経常支出を批判し健全化の必要性を指摘してきたIPEA(応用科学研究所)エコノミスト数名の解任は、マンテガ蔵相を初めポッシュマンIPEA新所長などの高度成長論者による現行通貨政策の変更を試みる動きとの懸念も出ている。


(2007年10月号)

<金利引下げ再開に期待>
工業生産と消費の成長ピッチの差が縮小し投資や生産拡大による工業部門の対応も観測されているが、通貨政策委員会は基準金利を据置き、2年間続いた引下げサイクルを中断した。政府経常支出がGDP成長率を大幅に上回るピッチで拡大する一方で、『プライマリー黒字の維持や金利引下げに必要』(中銀総裁)なCPMF(小切手税)法期限延長は未だ不透明な状況にある。米国政策金利引下げや伯国債格上げ可能性の高まり等が金融市場等への外貨流入を加速させており、金利引下げ再開に注目が集まっている。


(2007年9月号)
    
<国内需要の過熱を反映>
第2四半期GDP統計において、需要項目別では家計消費と設備投資の他に政府消費の成長率がGDP成長率を上回り、需要拡大の柱となると同時にインフレプレッシャー要因となっている。特に、拡大する政府の経常支出も懸念要因として指摘されるなど、今後の経済成長の過程において金利引下げサイクルの中断・融資引締めによる通貨政策の調整は避けられないとする見方が強まっている。製造業の設備稼働率が1977年以来の高レベルに達した。


(2007年8月号)

<新しい経済環境での成長が課題>
伯実態経済に対する国際金融危機の影響は未だ不透明だが、既に国際金融市場における流動性の圧縮は伯企業の外貨調達に影響を及ぼしている他、今後の国内貸出金利上昇や返済期間短縮など条件引締めの可能性も出ている。更に、為替の変動と国内市場の力強い需要の拡大はインフレプレッシャー要因となっており、10月以降の基準金利引下げサイクル終焉が予想されるなど、新たな局面での成長が課題となっている。



(2007年7月号)


<インフラ整備が焦点に>

力強い景気回復が観測される中で、プライマリー財政黒字収支は税収増加に支えられ目標を大きく上回っているが、航空危機悪化等インフラ問題が深刻化し、公共投資を含む政府の財政運営の不備が露呈している。マクロ経済指標の改善を背景に、投資グレードへの国債格付け引上げを先取りした外貨流入や衰えを見せない輸出等が更なるレアル高要因に。米国サブプライム住宅ローン問題に端を発した金融市場の変動が調整時期に入った基準金利引下げピッチに影響を与える可能性も指摘されている。


(2007年6月号)

<通貨政策に不安要因>

08年インフレ予想が4%レベルと目標値以下で推移するにも拘わらず、通貨審議会は09年正式インフレ目標を4.5%に設定した。最終的には(ルラ大統領の意向を受けて)マンテガ蔵相の主張が通った形だが、並行して中銀が4%の目標を追及すると発表したことに関し、市場では通貨政策の信憑性を揺るがし長期的に経済成長に影響を与えるものとした批判が相次いでいる。航空危機や上院議長の癒着疑惑が齎した上院議会危機にも拘わらず、好調な経済を背景にルラ大統領支持率は64%と高レベルを維持。



(2007年5月号)

<恵まれた経済環境が更なるレアル高要因に>
対ドルレートが2レアルを割込みレアル高傾向が強まる中で、インフレは目標以下で推移しカントリーリスクは過去最良値を更新、更に主要国際格付け機関による伯国債のアップグレードの可能性が高まっている。このような経済環境は、好調な国際経済を背景に更に外資流入を促進させる要因となっており、中銀の基準金利引下げ幅拡大への期待とプレッシャーが高まりを見せている。(中銀統計データは、ストの影響で発表されておりません)

 



(2007年4月号)

<通貨政策、成長路線へ誘導か>

大蔵省や中銀の経済スタッフ数名の交代を受けて、今迄の安定路線からマンテガ蔵相が主張する成長路線へ通貨政策が誘導される可能性が高まっている。安定した現在の経済環境を背景に産業界や消費者の経済への信頼度が高まる一方で、中長期的視野から投資環境の整備が急務と指摘されている。野党との接近を試みる政府の動きが目立っているが、財政均衡を維持する為に不可欠な
CPMFの延長を含む国会での重要法案の審議に向けて政治基盤を強化したい思惑がある。




(2007年3月号)

<為替レートが議論の焦点に>

マクロ経済指標の改善に加え、エタノールやインフラ部門への投資チャンス等が外資流入を加速させレアル高傾向が進む中で、為替レートの問題は経済政策を運営して上での議論の焦点となっている。地理統計院(IBGE)によるGDP算出方法の見直しで、経済活動に占める製造業のシェア−が縮小、為替のインパクトが指摘されると同時に、経済構造の変化を示すものとなった。輸入プレッシャーの拡大と輸出益の減少は、企業がレアル高に対応して行く為に必要な競争力強化への投資力を減退させるものとして懸念されている。



(2007年2月号)

<注目される第二次政権の舵取り>
   
中銀のコンサーバティブな通貨政策に対する労働党(PT)左派や政府内部の批判に加え、06年経済成長率が
2.9%の低レベルとなったことがプレッシャーとなり、中銀通貨政策局長を辞任に追い込んだ。今回の中国発株安連鎖は現時点で基準金利引下げ傾向への影響はないとされ経済活性化の兆しも観測される一方で、今年の経済成長に関しては依然として慎重な見方が多い。連立与党の形成を巡る交渉が纏まらずルラ第二次政権の組閣は未決定の状況にある事も停滞感を強めている。


(2007年1月号)

<疑問視される経済成長促進効果>

市場では、今般政府が発表した経済成長促進措置(PAC)によって経済成長を加速することは不可能とした悲観的見方が多い。公共投資を軸とすることから、財政への影響が懸念される他、実行に移すための政治基盤が必要となる。最も重要とされる民間部門投資を促進する為の税負担軽減等の改革は含まれておらず、ブラジルは好調な世界経済環境のもとに改革を実施するチャンスを逃したとの批判も多い。中銀の基準金利切下げ幅が縮小したものの、中銀の独立性を立証する事例となった。


(2006年12月号)

<財政路線変更へ 成長と投資が課題>
政府 はインフラ部門への公共投資拡大を含む一連の経済活性化措置の検討を進めているが、市場の期待に反し、プライマリー黒字目標を緩和することで財源を捻出する可能性が濃厚になっている。民間部門の投資拡大には税負担軽減を目的とした経常支出削減・公共債務残高削減が不可欠との指摘が高まりを見せているにも拘わらず、ルラ大統領はマンテガ蔵相が提案する額を上回る最低賃金を承認し、07年度国家予算承認において経常支出削減関連条項をカットする等、財政政策の変更を示した。


(2006年11月号)

<政府、短期成長路線選択か>
今後の世界経済環境の悪化も懸念される中で、年金制度の改革なくして5%台の持続的経済成長への道は開けないとした内外での声が高まりをみせているが、ルラ大統領は、増大する赤字幅の圧縮を改革ではなく運営改善により試みる方針を表明。プライマリー黒字算出の対象外とされるPPIプロジェクトを公共投資拡大の『手段』とする政府の試みも懸念視されている。今年のDGP成長率は3%以下に留まることがほぼ確実となり、成長鈍化が鮮明に。


(2006年10月号)

<経済成長が最優先課題、疑問視されるガバナビリティー>
再選を果たしたルラ大統領は経済成長を次期政権の最優先課題として掲げているが、持続的成長目標を達成する段階で不可欠とされる税制改革と年金システム改革を推進する為の政治的ガバナビリティーが疑問視されている。財政緊縮・為替変動相場・インフレ目標を柱とした基本経済路線は維持される見込みだが、PT幹部による金融政策の路線変更を示唆する発言や必要とされる支出削減が不透明な中で、大蔵大臣、特に今迄安定路線を主導してきた中銀の総裁人選に注目が集まっている。


(2006年9月号)

<次期政権での経済路線維持を予想>

労働党幹部によるセーラSP州知事候補(PSDB)の個人情報入手をめぐるスキャンダルは、一時的な金融市場の動揺を招き第一次大統領選挙でルラ大統領の勝利を遠ざける要因となった。金融市場は、旧労働党の社会イデオロギーの反映リスクを残すルラ大統領よりも財政改革推進等の観点からアルキミン(PSDB)候補の勝利を好む傾向にあり、決戦投票へ持ち込まれたことはプラス材料としている。市場は、ルラ・アルキミン何れの新政権においても現行経済路線は維持されるものと予想。


(2006年8月号)

<経済の冷込みが鮮明に>

依然として高水準で推移する実質金利に加え農業危機や輸出の勢いの衰え等が景況感を悪化させ、更に2QのGDP成長率が低レベルに留まったことで、今年の工業生産やGDP成長率予測を下方修正する動きが加速している。政府は、銀行間の競争を高めることで市場金利低下(銀行スプレッド縮小)を図るべく良好なクレジット・ヒストリーを収録した個人データベース創設を含む一連の措置を発表。融資拡大を大統領再選への『広告塔』としたい狙いもある。


(2006年7月号)

<依然として不透明な持続的成長モデル>

7月輸出高・貿易収支が共に最高記録を更新する一方で、輸出量にレアル高の影響が鮮明になっている。政府が発表した一連の為替緩和措置は為替規制の改正に向けた第一歩として評価に値するものの、更に外貨流入を促進させる要因を孕んでいるとしてレアル高への短期的な効力は薄いとする見方が多い。07年の新政権スタートを控え、信用危機を回避し持続的経済成長サイクルを齎す為の最重要課題として早急な財政運営モデルの見直しが提言されている。


(2006年6月号)

<経済成長誘導に向けた小刻みな調整へ> 

マクロ経済安定が奏功し国際金融市場変動の波及は小規模に留まっているも経済成長を誘導する為の通貨政策の小刻みな調整が要求される環境の中で、通貨審議会は『インフレ目標政策の信用確立を重視』するとして08年インフレ目標を3年連続で同率に設定。生産部門を対象とした長期制度融資の利下げが実施された他、7月には為替規制緩和の発表が予定されている。財政面では、政府は06年プライマリー黒字目標は達成可能としているものの、公務員給与調整プレッシャー等選挙要因による支出増加が目立っている。ルラ大統領の再選出馬が正式決定。


(2006年5月号)

<経済成長加速が課題>

ここ数年間の良好な世界経済とコモディティー国際価格はブラジルの国際収支改善に寄与してきたが、米国の政策金利引上げへの圧力の高まり等から金融市場が動揺。世界経済は調整期に入ったとの指摘もある中で、経済成長の加速が課題となっている。自動車産業を中心に大幅な人員削減が発表される等レアル高の影響が鮮明になる中、政府は競争力強化を目的とした一連の為替規制緩和の検討を表明。サンパウロ州を中心とした密輸犯罪組織(PCC)の暴動も投資環境に汚点を残した。


(2006年4月号)

<財政悪化への懸念、持続的成長が課題>

1Q公共部門プライマリー黒字は、目標を上回ったものの選挙を意識した公共投資拡大や連邦政府経常支出拡大により前年比大幅な低下を示し、投資を犠牲にした重税による黒字達成モデルが限界に。インフレ沈静化後の次ぎのステップとして財政健全化を重視する市場の声が今迄になく高まっているが、メイレレス中銀総裁とマンテガ蔵相との意見対立も伺われる中で、持続的成長への道のりは不透明な状況にある。ボリビアガス供給不安が今年の経済成長に影響を及ぼす可能性も出ている。


(2006年3月号)

<今後の通貨政策路線が焦点に>

市長時代のPT資金調達工作をめぐる汚職スキャンダルが尾を引き、ルラ政権のスーパーミニスターとして経済安定化の柱となってきたパロッシ蔵相を辞任に追い込み、後任に現行通貨路線を常に批判して来たマンテガBNDES総裁が任命された。現時点で政府は現行路線を維持する方針を強調しているが、金利引下げピッチ加速等政策調整の可能性や財政緩和の懸念も出ている。レアル高・金利高の経済環境において、アジア等の安価な原材料や資材を調達する企業の動きが加速し投資計画への影響が懸念されている。


(2006年2月号)

<積極的な債務管理がレアル高に拍車>

金利引下げ効果などを睨んだ海外投資家の内債購入への税制優遇措置や短期国債買戻しの発表、更にはモラトリアムのなごりであるブレイディー債の全面的な買戻しの発表が好感されてカントリーリスクが最低を更新し、S&Pによるソブリン債格上げも追い風となりレアル高に拍車をかけた。輸出企業の収益劣化に伴う今後の投資減退の懸念もあり、政策金利引下げピッチ加速が急務とされている。GDP成長率が低迷し通貨路線変更への政治的圧力も想定される中で、中銀の舵取りに注目が集まっている。再選を意識した公共工事等への支出増加に伴い、ルラ大統領の支持率が上昇。


(2006年1月号)

<通貨政策は慎重路線を堅持>

今後の金利引下げや公共投資拡大による景気回復への期待の中にも、過度の通貨引締策による後遺症が需要回復への勢いを妨げており金融市場と実質経済の温度差が指摘されている。政府としては、ルラ大統領再選キャンペーンの為にも景気回復を早期実現させたいところだが、通貨政策に関しては慎重な姿勢を崩さず。議会は昨年来の汚職問題を巡る攻防戦から未だ開放されず、06年度国家予算も未成立の状態。


(2005年12月号)

<経済活性化が最重要課題、再選に向けた地ならしへ>

成長率が低迷する経済環境を受けて、ルラ大統領は金利引下げを補足する措置として経済活性化を目的とした財政黒字収支の余剰資金の支出を加速するよう指示した他、各省による優先プロジェクトの選定・実行を06年最優先課題として設定。マクロ経済のファンダメンタルズ改善からカントリーリスクは過去最低の300ポイント台へ下降、年末にはIMF借款を前倒しで完済した。一方、大統領選予測調査の結果では初めてルラ大統領落選が示される等支持率が低迷している。


(2005年11月号)

<緊縮財政緩和へのプレッシャーの高まり>

パロッシ蔵相の市長時代の汚職関与が告発される中、過度の財政支出抑制に対する内部からの攻撃等から蔵相辞任説も流れたが、来年プライマリー財政黒字を今年の目標レベルに留めるとすることで打開した。来年の大統領選挙を控え、3QのGDP成長率が予想を上回る落込みとなった事も影響し、今後、歳出拡大や通貨政策緩和又は軌道調整へのプレッシャーの更なる高まりが予想される。ルラ大統領の支持率は50%を割込み、就任以来最低水準に。レアル高を受けて既に輸出量の減少が観測される中、来年に向けて金利引下げ・購買力上昇による国内経済成長に期待が集まっている。


(2005年10月号)

中長期経済成長確保に向けた動き

PTが02年にキューバ政府から選挙資金を受領したとする新たな疑惑が浮上する等の政局不安にも拘わらず、経済は現在の国際環境も奏功し安定して推移。難航していた一連の税制優遇措置等を盛込んだMP do Bemが政府側の譲歩で両院を通過した事に加え、中長期的な財政面でのガバナビリティー・経済成長確保を図る為、大蔵省を中心にプライマリー財政収支引上げ等の憲法補足案に関する協議が進んでいる。これに対し来年のルラ大統領再選を睨んだ歳出拡大を主張する内部反対派が抵抗を示している。


(2005年9月号)

低インフレ下の成長が課題

汚職疑惑で辞任した下院議長の後任選出では大統領府擁立候補が辛勝したものの、PT内・支持基盤亀裂の拡大を露呈、今後の議会運営難航が予想される。基準金利が下げに転じた他、伯史上初のレアル建てソブリン債発行の成功も経済の成熟を示すものとして共に好材料となったが、工業生産に陰りが見える中で、企業利益を蝕み輸出・投資減退への懸念要因となっている極端なドル安対策としても今後の更なる引下げが望まれている。ルラ大統領支持率は就任以来最低水準へ下落。


(2005年8月号)

経済は最後の牙城

汚職疑惑の焦点は大統領がこれををどこまで認知していたかに当てられており、世論調査での大統領支持率の下降や大統領選でのルーラ落選予想が初めて観測された。同時に不正選挙資金徴収への蔵相の関与が告発され金融市場の動揺が危ぶまれたが、一触即発の感の中にも現時点では安定を保っている。第2四半期GDP成長では二期連続で下降していた投資が上向き、実体経済の底固さを見せた。


(2005年7月号)

長期化する政治危機、ガバナビリティー確保への動き        

議会工作に絡んだ賄賂疑惑問題は、国会調査の進展に伴い疑惑がPTの中枢にまで及び、解決の糸口が見えないまま特に基幹産業等大型投資への影響が表面化している他、問題が長期化する事で現在好調に推移している経済のファンダメンタルズへの影響が懸念されている。現時点で疑惑がルラ大統領個人に及んでいないことも防波堤となり金融市場は比較的安定を保っているが、政権交代迄のガバナビリティー確保を目的とした与野党・政財界の話し合いが持たれる動きが出ている。


(2005年6月号)

ルラ政権最大の危機に遭遇 

郵便公社汚職疑惑解明の為の議会合同調査委員会設置で、PTによる野党議員買収等のスキャンダルが噴出し、Dirceu官房長官が辞任する等政府は政権発足・党設立以来最大の危機に見舞われているが、経済への感染は現時点で見られず。ルラ大統領は長期的な金利引下げの一手段として、Palocci蔵相の意向(党内の抵抗はかねてより強い)でもある名目財政赤字ゼロの目標達成の検討を指示する等、緊縮財政を更に推進する姿勢を強調。内閣改造(最大党PMDBの閣僚ポスト拡大)による政治基盤の建直しを図っているが、政治機能が麻痺している中で重要審議案を抱える国会は停滞状態にある。


               

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