政経トピックス 

(BMWから)

ホーム】 【カーフラッシュ


(2015年 12月号)

経済政策の行方、政治危機と財務相交代> 

国際勘定を除く主要経済指標の著しい悪化が観測されているが、経済を回復に導くための財政健全化は至難を極め、2016年経済に対する悲観的見方が広がっている。財政健全化を最重要視してきたLevy財務相の後任にBarbosa企画相(PT)が任命されたことも金融市場の不信感と変動を招いた。PT幹部が『経済政策の方向転換・緩和』を要求する中で、金融政策推進において独立性を維持して来た中銀との意見の対立も予想され、経済政策の行方に注目が集まっている。財政状況悪化を受けて、格付け機関2社が伯格付けを投資不適格級に引き下げた。


(2015年 11月号)

政治環境悪化がもたらす経済停滞
 

第3四半期GDPは、新たに家計消費・サービス部門の弱まりを反映した予想を上回る落込みとなった。ペトロブラス汚職事件関連で労働者党(PT)重鎮の議員が逮捕された事件は、更なる政府政治力の弱体化と政治環境の悪化を招き、結果的に財政健全化が遠のくとした見方が広がっている。危機対策が沈滞し回復への道筋が不透明な中で、『デプレッション』の声も聞かれる。下院議長がルセフ大統領弾劾請求を承認したことも新たな不安定要因となっている。


(2015年 10月号)

不透明な財政再建と経済の先行き

政治的混乱が経済面の先行きの不透明感を強めている。2014年の政府会計操作が齎した債務の一括決済の必要性が膨大な本年度プライマリー赤字を齎す可能性がある他、議会の支持が得られぬ中で財政再建への道筋は見えず。税収増加を可能とする為のランダムなルール変更も企業や海外投資家に損失を与え信頼度を失墜させている。財政政策との足並みが揃わない中、中銀は、インフレ目標値達成時期を2017年に先送りする等金融(金利)政策の見直しを余儀なくされている。


(2015年 9月号)

政治危機 

教育・医療・住宅プログラム等、社会・投資を中心に歳出カットを実施しているルセフ大統領は、8つの閣僚ポスト廃止を含む内閣改造を決定発表した。財政調整法案の承認と『大統領罷免請求』を阻止するための議会での支持回復が目的だが、財政再建に対する金融市場のネガティブな見方は変わらず、大統領の政治力の弱まりが指摘されている。S&Pがソブリン債格付けをジャンク級に引下げたことも財政健全化推進への圧力となっている。政治情勢が景気を更に後退させ見通しを悪化させている。


(2015年 8月号)

経済情勢見通し悪化

財政政策に対するネガティブな見通しとソブリン債格付け引下げリスクの高まり以外に、Levy財務相辞任の噂も金融市場の変動に拍車を掛けている。国際経済減速も観測される中で、高インフレ、総債務残高拡大、中銀の独立性維持への懸念を背景に、リセッションの深まりと長期化が予想されている。Rousseff第一次政権の予想を上回る『負の遺産』、追加支出カットに否定的な大統領、支出拡大要因となる国会審議案可決の動き、財務相と企画相の意見の対立など、緊縮財政に向けた政策推進は複雑且つ困難な様相を呈している。赤字財政を反映した来年度国家予算案の提出は、増税の必要性を国会に対してアピールし財政赤字解消の糸口を模索する行政の駆け引きともされている。第2四半期GDPはリセッションの深まりを反映する内容となり、見通しが悪化している。


(2015年 7月号)

見通しを悪化させる政治危機

景気後退による税収低下と予想を上回る『負の遺産』を受けて、政府は本年度プライマリー黒字目標を対GDP0.15%に大幅緩和した。現実的数値とするも、既に達成が疑問視されている。財政運営の是正は、大統領の政治力の弱まりと国会の抵抗から困難を極め、更に、政治危機と景気後退のコンビネーションが見通しを悪化させ回復を妨げている。S&Pが格付け見通しをネガティブに引下げたことも投資適格を失うリスクを拡大させた。Levy財務相の存続も危ぶまれる中で、悪循環を断ち切り悲観ムードを好転させるには構造改革の道しか残されていないとされているが、現在の国会ではほぼ不可能に近い。


(2015年 6月号)
 
険しい好循環転換への道程>  
   

財政緊縮の取組みと経済政策の方向性が評価されているにも拘らず、記録的レベルに上昇が見込まれる総債務残高とプライマリー黒字目標値達成状況を背景に投資適格格付け喪失のリスクが浮上している。金利上昇・失業率拡大・インフレ上昇・大統領の政治力の弱まりなどの政治経済情勢悪化がルセフ大統領の支持率を一桁に低下させた。政府発表のインフラ整備計画も期待を改善するバネにはならず見通しが悪化している。リセッションが長期化する様相を呈する中で、如何に期待を上向かせるかが焦点となっている。

 



(2015年 5月号)

経済の弱まりと信頼回復

第1四半期GDPは景気後退を裏付ける内容となり経済回復の見通しが不透明な中で、2016年を悲観視する見方が広がっている。一方で、政治的環境悪化にも拘らず財政調整案の国会審議は多少ながらも前進し、中銀は景気後退のプレッシャーにも拘らずインフレ抑制のための金融政策を追究するなど政府の信頼性が徐々に回復しつつあるとした見方も出ている。しかし、7期連続で低下する投資に加え、雇用情勢悪化などで今迄経済を牽引してきた家計消費が短期的に上向く可能性は薄い。更に、Levy財務相が獲得した調整は不十分且つ(主に)経済活動にネガチブな影響を与える増税と将来の経済活動に痛手となる投資削減であり、リセッションの深まりも予想される。財務相の孤立や企画相との歩調の乱れも窺える中で財政調整推進の道程は厳しさを増している。 




(2015年 4月号)

<金融政策引締めと困難な財政調整>

経済の急速な冷えこみが観測されるにも拘らず、大幅な公共料金調整が齎したインフレプレッシャーを背景に中銀は政策金利を引上げた。金利上昇は消費や企業投資を更に落込ませると同時に公的債務を拡大させる要因だが、インフレ見通し誘導によって経済均衡を取戻し、経済を成長に導く為の最重要課題としている。一方で、リセッションによる税収低下を受けて、主に公共投資を犠牲にした支出カットにも拘らず3月プライマリー収支は期待を大幅に下回った。更に、政治的環境悪化が国会に上程した財政調整法案内容を『軟化』させていることも今年のプライマリー黒字目標達成を遠ざけている。


(2015年 3月号)

実態経済の悪化> 

工業、商業、サービス部門の経済指標が著しい実態経済の悪化を示す中で、今年のマイナス成長は免れない状況にある。背景には公共料金値上げ、税負担拡大による厳しい財政再建、インフレ誘導の為の政策金利引上げ、又ペトロブラスの汚職スキャンダルの影響がある。失業の懸念も消費を冷込ませ、総需要弱まりの兆しが指摘されているが、成長に転じる為に不可欠な財政再建の遂行は政治的環境悪化から至難を極めている。大統領・PT政権に対する国民の不満の高まりが各地で反政府デモを発生させた。S&Pは政策変更に期待し国債格付け引下げを据え置いたが、大統領・国会の支持が焦点となっている。


(2015年 2月号)

<反循環政策の解体> 
  
Levy財務相は財政均衡を目的とした給与税減免政策を解体する方針を発表した。これは、経済ファンダメンタルズ重視のオーソドックス経済政策への軌道修正を示す重要なステップとされているが、産業界の一部では批判の声も聞かれる。ペトロブラス社債格下げが国債格付けに波及する懸念から発表を急いだとの指摘もある。企業競争力を回復するための健全且つ持続的経済環境整備に向けた一歩だが、財政再建は一時的ながらリセッションの痛みを伴うことから、大統領、また政治的な支持が十分に得られるかが焦点となっている。財政再建への政治的環境悪化が為替相場の変動を招いている。


(2015年 1月号)

<スタグフレーションの懸念と双子の赤字> 

財政再建を図るための増税措置導入以外に節電・節水リスクの高まり等が今年の経済成長見通しを悪化させている。ガソリン税復活や電力料金引上げにペトロブラスの汚職スキャンダルのネガティブ要因が加わり、高インフレ・経済停滞の悲観的見方が広がっている。一方で、冷え込んでいた経営者の信頼度がやや上向いた他、2016年経済に対する市場見通しが僅かながら改善した。経済の冷えこみにも拘らず政策金利は当面上昇傾向にある。2014年は、プライマリー収支の赤字転落と経常赤字の著しい悪化を観測した。


(2014年 12月号)

<財政緊縮と成長の狭間で> 

産業界や金融市場は、新経済スタッフが提唱する今後のマクロ経済政策の調整に対して好意的だが、Rousseff大統領の明確な意思表示がない中で新経済政策運営の自主性への不信感が強く、世界経済悪化への不安も加わり為替相場の変動を招いている。経済政策への信頼性を取戻し、見通しを改善させ、2016年以降経済を成長路線に導く柱となる財政健全化だが、高インフレ・高金利の状況下、増税を含む厳しい措置導入は経済を更に脆弱させるリスクを孕んでいるとした指摘もあり、『さじ加減』が焦点となっている。


(2014年 11月号)

<緊縮財政への軌道修正>

国内経済はかろうじてテクニカル・リセッションを回避したものの、第3四半期GDPは経済停滞を反映した結果となった。最も注目されていた第二次政権の新財務相を含む経済スタッフが決定し、信頼回復とインフレ抑制に必要な財政健全化を優先的且つ段階的に進めつつ持続的経済成長に導く慎重な基本方針が発表された。PT幹部の説得も必要としたRousseff大統領の人選を金融市場や財界は好意的に受け止めたが、政治的妥協の度合い又経済スタッフの自律性の観点から、今迄と根本的に異なる厳しい措置導入の実現性を疑問視するアナリストも多い。


(2014年 10月号)

<試練の第2期Rouseff 政権>  

経済低迷にも拘らず、中銀は政策金利を半年ぶりに引上げた。固執するインフレと拡張的財政政策が背景にあるが、産業界は、停滞する製造業の回復や貸出活性化を更に遅らすものと懸念。財務相を含む信頼に値する経済スタッフが就任したとしても、金融政策、生産性・競争力の回復を可能とする構造改革の実現性に鑑み、第2期Rousseff政権の経済成長見通しは暗い。投資家の信頼回復、聖域なき財政見直し、新経済政策の設定が急務となっている。



(2014年 9月号)

<経済政策軌道修正が焦点に>

政府の税低減奨励措置や連邦政府の支出増加にも拘らず経済回復の勢いは見えず、暗雲が漂っている。このような状況下、新政権が低経済成長、信頼度・財政悪化傾向を好転させる政策を導入しない限り国債格付け引下げは免れない状況にある。GDPはここ3年間潜在成長率を下回っている他、ノミナル赤字や総債務残高の拡大など財政悪化が目立っている。Rousseff大統領再選の可能性の高まりが金融市場の変動を招き、リプレイを懸念する経済社会の『抗議の一票』との指摘も出た。


(2014年 8月号)

自律的景気後退

2期連続のマイナス経済成長の発表を受けて、今年の経済成長見通しを一斉に下方修正する動きが観測されている。政府は先般、銀行の強制預託制度や純資本規制の緩和などによる経済活性化を目的に自動車ローンを含む一連の貸出奨励措置を発表したが、市場は短期的効果を悲観視している。信頼性の喪失から経済成長を牽引する固定資産投資の激しい落ち込みが観測される中で、新政権が如何に経済を立て直すための軌道修正を行なって行くかが焦点となっている。


(2014年 7月号)

矛盾する金融政策 政治的決断

中銀は冷え込む需要や経済見通し悪化にも拘らず政策金利を維持し、根強いインフレの抑制に必要な金融政策引締め措置を継続する方針を明確にした直後に、消費活性化を目的とした流動性緩和措置を発表した。この矛盾する行為の背景には、主に自動車ローン等の貸出を活性化することで再選のマイナス要因となる解雇拡大を極力回避したい政府の思惑がある。資金的に余裕がある民間銀行ではなく主に政府系銀行に恩恵を齎す措置とされている他、経済的効果に関しては悲観的見方が多いが、庶民の生活改善に向けた政府の努力をアピールする狙いもある。


(2014年 6月号)

経済活性化を模索
 

経済活性化は大統領選挙を勝利に導く決め手になるとした認識のもとに、政府は製造業の生産性改善を目的とした一連の奨励措置を年内に導入すべく検討を開始したと発表する等景気回復を模索しているが、厳しい財政状況がアンビシャスな奨励措置導入の足枷となっている。工業部門停滞に伴う人員削減のリスクが高まる状況下、政府は自動車のIPI低減措置延長を含む一時的措置を導入した。先行きが依然として不透明な状況にある中で、産業界では短期的回復への悲観的見方が根強い。財政収支と経常収支は悪化基調にある。


(2014年 5月号)

『貧血気味』の経済> 

第1四半期のGDP発表を受けて家計消費の息切れと投資減退が鮮明になり、市場では本年度成長に対する悲観的見方が広がり見通しが悪化している。5月は消費者以外に広範囲の産業分野で信頼度指数が低下し、ビジネス環境の悪化を反映。インフレは目標値達成が困難な状況にあるにも拘らず、中銀は景気減速とインフレプレッシャーの弱まりに鑑み政策金利引上げサイクルを一旦中断した。大統領選挙を意識したリスクを伴う決断との批判も出ている。


(2014年 4月号)

景気減速と見通し悪化

製造業の信頼度低下が投資意欲を減退させインフレ上昇が消費者の購買意欲を低下させている中で、自動車を中心とした販売や工業生産の落込みが観測され今年の経済成長に対する悲観的見方が広がっている。経常赤字の深まりとプライマリー黒字悪化が観測される一方で、新興国通貨に対する市場心理が改善したこともあって対伯直接投資は比較的好調に推移し、資金運用を目的とした外貨流入が加速するなど国際勘定悪化に歯止めをかけている。インフレプレッシャーと低経済成長が続く現状下、インフレターゲット政策に関する議論が再燃している。


(2014年 3月号)
格付け引下げ、経済政策信頼回復が課題

財政と国際勘定の悪化、また一貫性のない経済政策と今後の改善に向けた見通し悪化を理由に、スタンダード・プアーズ(S&P)は、ブラジル長期債格付けを投資適格では最下位に引き下げた。経済の低成長とインフレプレッシャーが続いているにも拘らず、消費主導から投資型牽引へのシフトも困難な状況にある。特に透明性の高い緊縮財政運営による信頼回復が必要だが、既に今年のプライマリー黒字目標値達成が疑問視されている他、更なる格付け引下げを懸念する向きも出ている。経営者信頼度や消費者信頼度の低下を観測。Roussef大統領支持率は抗議デモ勃発後の水準に低下した。
 


(2014年 2月号)

慎重な経済成長見通し

13年第4四半期GDP成長率発表を受けて今年の経済成長への期待が上向いたが、信頼度低下・輸出低下・自動車生産鈍化が観測される状況下、経済が減速傾向にあることに変わりはないとした見方が強い。電力供給リスクも投資への危機感を高め経済成長を制約する新たな要因となっている。市場は、2013年成長を牽引した農畜産業、投資共に今年は弱まりを予測する。信用回復を目的とした14年度プライマリー黒字目標設定(対GDP1.9%)や選挙の年にも拘らず消費抑制効果を齎す金利引上げによるインフレ目標値追求等はマクロ経済政策の調整を意味するとした好意的な見方も出ている。


(2014年 1月号)
    
<金融引締め継続見通し>  

政府は13年プライマリー黒字目標を達成したと発表するも市場の不信感は払拭できず。14年黒字目標を2月に発表(最終的には大統領が決断)予定だが、国債格付引下げを回避する為の審査基準を考慮し、更に大統領選を睨んだ判断・決断となる見込み。米国の金融政策変更の影響による国際的な流動性供給の引締めが予想されるにも拘らず、財政緊縮追求への『方向転換』の可能性は薄く、中銀は金融引締め政策(金利引上げ)によるインフレとの単独の戦いを続けることになるとした見方が強い。工業生産の激しい落込みを受けて、14年見通しを下方修正する動きを観測。アルゼンチン為替危機も新たな懸念要因となっている。



(2013年 12月号)

<低経済成長とインフレ・リスク> 

中銀は、経済は横ばい、インフレは目標値を上回るとした今後二年間の経済見通しを発表。他南米諸国の水準を下回る投資は経済活性化には不十分と指摘し、大幅な経常赤字の継続を予測。インフレリスク要因は、電気料金の是正、不安定な国際金融市場による為替相場の変動、生産性を上回る賃金調整など。14年のインフレリスク軽減・経済回復を可能とするには消費者均衡が決定的要因とされている。マンテガ財務相は、13年プライマリー黒字目標達成を前倒しで発表し財政緊縮をアピールしたが、14年の財政運営に関する懸念が再燃している。インフレ対策又健全なマクロ経済環境を維持するため重要な財政政策は、一年を通して批判・疑問視され投資活性化の足かせとなっている。




(2013年 11月号)

政治優先の経済政策> 

財政黒字縮小や債務拡大に加え低成長が続く中で、経済の先行きに対する金融市場の懸念や不安が広がっている。政府は財政緊縮の必要性を認識するも、健全化を目的とした支出削減や増税、又真剣な目標値追求はせず大統領選挙を勝利に導くための政治重視の経済政策を採る傾向にあり、主要経済指標の悪化や米量的緩和縮小などが金融市場の『嵐』を招くリスクも指摘されている。政府は、ガソリン卸売価格引上げを決定したが、ペトロブラスの要求率を下回るインフレコントロールを重視した決断となった。第3四半期の低成長を受けて、今年と来年のGDP成長率を下方修正する動きが観測されている。


(2013年10月号)
 

財政悪化、格付け引下げ先取りの動き

公共部門の投資拡大が実現する以前に財政勘定の悪化が懸念要因として再浮上し、内外の批判が集まっている。9月プライマリー収支が17年来の赤字幅に転落。目標値達成が更に遠のくと同時に、ノミナル赤字(年度累計)は対GDP比3.33%に拡大。市場のネガティブな反響を受けて、マンテガ財務相は、財政緊縮をアピールすべく失業手当・保険を削減する苦肉の策を発表。悪化する年金勘定の改善などの編成は政治的要因から先送りされている中で、金融市場では格付け引下げを先取りした動きが観測されている。インフレ抑制を目的とした政策金利引上げが成長見通しを悪化させると同時に、投機的外貨流入を加速させている。
 

(2013年 9月号)
    
<政府論調の変化、投資と生産性> 
   
マンテガ財務相が経済成長を持続させるためには更なる投資と生産性が必要と警告するなど経済政策に関する政府論調に変化が見られるが、構造的問題や干渉主義が指摘される中で民営化コンセッションを実現する為の主に海外投資家の説得(信頼性確保)が焦点となっている。ソブリン・リスク引下げも懸念される中でBNDES経由インフラ投資を優先すべく、政府系銀行は一般貸出を縮小する傾向にある。2014年に向け政策金利は上昇傾向にあり、財政・経常収支の悪化も目立っている。


(2013年 8月号)
 

経済減速の感と遠のく信用回復

主に建築・農畜産分野の設備投資の牽引で、第2四半期経済は予想を上回る成長(前期比1.5%)を記録した。これを受けて成長見通しをやや上方修正する金融市場の動きが観測されたが、国際環境の悪化や政策金利引上げによる金融引締めなどから経済減速の感が強まっている。14年度国家予算案にはリーマンショック時を下回る中央政府プライマリー黒字目標値が組み込まれており、金融政策との協調性が薄れる可能性が指摘されている。政府は、今迄の失敗を踏まえ経済政策を消費主導から投資主導型に切替える必要性を認識するも、大統領選挙迄は大幅な変更を伴う施策は採らないとした見方が強い。
   

(2013年 7月号)
  
信用回復が焦点に

上期の低経済成長や政治的混乱が経営者の信頼度を著しく低下させ、投資へのネガティブな影響が懸念される中で、政府が信頼に値する経済政策によって期待を上向かせられるかが焦点となっている。インフレ懸念の高まりから中銀が政策金利引上げの必要性を示しているが拡張的財政政策に変わりはない。マンテガ財務相は、ドル高によるインフレプレッシャーを抑制する一手段とすべく生産部門のコストダウンを目的とした輸入資材100項目の関税率引下げを発表した。これに対し、産業部門に不均衡を齎す不適切な措置とする批判も多い。依然として工業生産に競争力改善や安定回復の兆しは見えず。
 

(2013年 6月号)
   
不透明な経済政策の行方>   
  
運賃値上げが発端となった反政府デモの全国的な展開が小売販売など経済活動に影響を与えている。治安悪化等の社会問題や政治家の汚職問題に加え家計を圧迫するインフレに対する鬱積した不満が背景にある。経済成長見通しが下方修正される反面、政策金利は上昇傾向にあり悲観的見方が広がっている。経済ファンダメンタルズの崩壊が信用を失墜させ金融市場の変動を招いているが、大統領支持率低下が観測される中で政治的決断が優先される環境にある。国際格付機関S&Pはブラジル国債格付け見通しを『ネガティブ』に引下げた。
 


(2013年 5月号)

経済低成長、経済モデルの脆弱性反映

今年第一四半期が予想外の低成長となり現経済モデルの脆弱性が明確になったが、政府は庶民の購買力を蝕みRousseff大統領再選の足かせとなるインフレをコントロールしつつ14年末迄現経済政策を大幅な変更なく維持して行くとした見方が多い。家計消費の『疲労』が観測される一方で投資は多少上向いたものの持続性が不透明な状況下、マンテガ蔵相はインフラ・コンセッションプログラム活性化を最重視する方針を明らかにした。支出拡大と消費促進政策が財政悪化と経常赤字拡大を招いている。
 

(2013年 4月号)    

需要拡大政策、ファンダメンタルズに黄信号> 
 

企業(主に銀行)の減益による税収低下と連邦政府の支出拡大・減税措置がプライマリー黒字を悪化させ、また潜在成長率の観点から景気刺激策の効果が限定的との懸念も指摘される中で、国庫は財政政策を反循環政策として運営して行く方針を認めた。インフレが目標上限値を上回る水準で推移し政府の内需促進が国際勘定の悪化を招くなど、今迄築いてきたマクロ経済の均衡が揺らいでいる。インフレ見通しを懸念する中銀が政策金利引上げの必要性を強調する方向に転じるなど、今迄の『協調性』にずれも観測されている。


(2013年 3月号)

<マクロ経済運営への懸念>

2014年の大統領選挙キャンペーンを先取りした動きがマクロ経済政策の運営に影響を与えている。Rousseff大統領の再選を視野に入れた電気料金等の公共料金引下げ・基礎食料バスケット価格引下げによるインフレ対策に加え、一時的景気刺激策、中銀通貨政策への関与などに対する市場の批判が高まっている。経済政策の信頼性の失墜が企業の投資意欲を低下させる一因となる中で景気回復軌道への道筋は不透明な状況にある。財政劣化と経常赤字の深まりも懸念要因となっている。
 

(2013年 2月号)

<経済回復ペースに不透明感>

2012年は低成長と高インフレ(目標最高値接近)のスタグフレーションが観測された。設備投資の大幅な落込みが低成長の背景にある。マクロ経済政策の不明確な運営と世界的な景気低迷が企業の投資意欲を減退させたが、最近、政府はインフラ整備への投資促進に取組んでいる。12年の低成長率発表を受けて今年の経済成長見通しを下方修正する一部の動きもあるが、過去最高の穀物生産量が見込まれることや昨年採られた支援措置の効果が期待されている。中銀総裁は、インフレ目標を追求する中銀のコミットメントを改めて表明。
 


(2013年 1月号)

<経済政策運営に歩調の乱れ>

景気回復に弾みがつかない中で、財務省と中銀の協調が揺らいでいるとした見方が市場で広まっている。財務相の発言内容と異なり、『価格抑制』方向に為替政策を調整した中銀は、通貨政策(金利引下げ)による景気促進は制限されているとして供給側を刺激する必要性を指摘した。主に景気回復への不信感が企業の投資意欲を減退させている中で、財務省のプライマリー黒字算出操作やエネルギー供給リスクもマイナス要因となり投資拡大の見通しは不透明な状況にある。第1四半期生産回復に対する産業界の期待が微小ながら上向いた(FGV/ICICNI調査)。
 

(2012年 12月号)

<新経済モデル、疑問視される成長手段> 

2012年の低成長にも拘らず依然としてインフレプレッシャーが燻る状況において、中銀は為替市場介入を『過度のレアル安を抑制する』方向に軌道修正した。政府系銀行を活用した貸出促進と市場金利引下げを強制する動きに加え、失業率低下と生産性を上回る賃金上昇による家計消費拡大もインフレ要因となっている。景気回復が期待される一方で、景気活性化を目的とした税制優遇措置導入を可能とする為の財政責任法の効力緩和の動きやプライマリー黒字目標値達成の為の一連の算出操作は、事実上のマクロ経済三脚の崩壊を意味するとして経済成長と投資促進の目標達成に必要な信頼性・透明性失墜のリスクが指摘されている。


(2012年 11月号)

<景気対策への失望感>

第3四半期経済成長が予想を大幅に下回ったことから、12年度GDP成長率見通しを更に下方修正する動きと共に今後の回復に対する悲観的見方が広まっている。同時に、持続的経済回復の牽引に不可欠な投資が低迷する中で、近視眼的経済政策への批判も強まりを見せている。消費者の負債拡大を背景に不履行率は依然として高レベルで推移し消費主導型成長モデルが行き詰まる一方で、保護措置導入や為替相場の操作、又頻繁な市場ルールの変更による不安定な投資環境も投資意欲を萎縮させる要因となっている。


(2012年 10月号)

<金融政策運営と双方向性コミュニケーション>

グローバル危機が財政均衡・為替変動相場制・インフレ目標を柱としてきた経済政策を変化させているが、Tombini総裁が率いる中銀は金融政策運営において民間部門の期待に働きかけて行く上で重要な(標準的政策から逸れた理由を明確にする)双方向コミュニケーションが不足しているとの指摘が多い。消費の成長の勢いが続く一方で生産部門は豊富な融資と優遇措置にも拘らず回復のペースは不透明な状況にある。工業部門の低迷による税収低下を受けてプライマリー黒字目標達成はほぼ不可能となった他、政府はガソリン価格凍結やIPI優遇措置延長などもインフレ抑制の手段として用いている。


(2012年 9月号)

<投資目標設定へ> 

不透明な世界経済見通しなどから投資率(FBCF)が2010年以降下降し、今年は工業部門のマイナス成長が予測される中で、政府は、インフレを抑制しつつ高成長を追求する手段として投資率を引上げる方針を明確にした。貸出強化を目的とした銀行の強制預託規制の緩和や資本財の耐用年数短縮等を実施したが、生産コスト削減を図るべく減税措置拡充や税制見直しの検討も進めている。既に工業信頼度指数が上向くなどポジチブ要因も観測されるが、政府は今後の対応を可能とするためプライマリー黒字目標値引下げを検討。市場ではマクロ経済の三脚の崩壊に関する議論が再燃している。



(2012年 8月号)

<消費と投資、税制優遇措置更新>

工業生産は自動車販売の牽引でやや上向くも回復に弾みがつかない状況下、政府は自動車・白物家電・家具・設備・建材部門のIPI優遇措置を延長すると同時に、投資促進を目的として更に低利のBNDES融資プログラムを発表した。消費促進以外に、主にインフラ部門を中心とした投資や競争力強化を経済成長牽引役として重視する方向へ政府論調に変化が見られる。今後成長ペースの加速が予想されるが、第2四半期の低成長を受けて本年度経済成長率予想を更に下方修正する動きが広まっている。政府は景気支援措置を維持する手段としてプライマリー黒字目標値の引下げも検討している。


 

(2012年 7月号)

<国際収支悪化のリスク マクロ経済『柱』崩壊で>
  

政府の経済活性化対策にも拘らず工業生産の停滞感は払拭されず。生産性を上回る賃金調整に加え、政府の意に反しドル高も資材やコンポーネントを輸入する多くの企業にコストアップを齎している。政府は電力料金価格引下げなど更なる投資促進措置を模索しているが、財政面の調整に苦慮している。外貨流入が低下している状況にあって、市場では、今迄マクロ経済を支えて来た柱(財政均衡・インフレターゲティング・変動為替相場)を犠牲にした一貫性のない経済政策は国際的信用を低下させるとして、国際収支悪化のリスクを懸念する声が出ている。


(2012年 6月号)

<困難な経済活性化>

経済に弾みがつかず今年のGDP成長率が昨年を下回る可能性が高まる中で、政府は84億レアル規模の一連の設備投資促進措置(PAC Equipamentos)を発表した。BNDES長期ローン金利を引下げると同時にトラック、農業機械など政府調達を拡大するが、これら措置効果に関して市場では悲観的見方が多い。政府は、出費拡大にも拘らず、今年のプライマリー黒字は算出操作の特権を活用せず目標値達成を試みる。工業生産の落込みを受けて、GDP見通しを更に下方修正する動きが広がる中で中銀は支援のための為替市場介入を示唆した。


(2012年 5月号)

<消費主導の景気拡大限界に>

世界経済見通し悪化を背景に、政府は自動車産業を中心に一連の消費促進措置を発表したが、消費者の高レベルの負債が購買力を弱らせており、今年の経済成長見通しが更に下方修正される傾向にある。国際農産物価格と個人融資の成長の柱が揺らぐ中で、投資主導政策にシフトする必要性があらためて指摘されると共に、経済成長とインフレコントロールの両立を追求する政府の頻繁な通貨政策への直接的介入が不安定要因として海外投資家に懸念されている。第一四半期GDP成長率は0.8%に留まった。


(2012年 4月号)

<不透明な景気回復>

不履行率上昇による銀行の個人向け貸し渋りが目立つ中で、政府は政府系銀行に金利引下げを指示し民間銀行の貸出拡大と金利引下げを促す手段を用いる一方で、中銀は積極的な政策金利引下げを実施し今後も引下げを継続する方針を示した。消費促進による経済活性化が目的だが、来年のインフレリスクを無視した近視眼的な手法との批判もある。免税措置効果が現れるまで時間を要することや世界経済回復の弱さに鑑み生産部門の回復時期は依然として不透明であり、GDP成長率予想を下方修正する動きも観測されている。


(2012年 3月号)

<産業部門支援措置> 

産業空洞化の危機も指摘される中で、政府は、新規11セクターを減税措置・低利融資枠対象とした
Brasil Maior産業政策第二弾を発表した。年間約72億レアルの税収の減少を予想する。市場は、1999年以降マクロ経済政策を支えて来た3本の柱が『レアル高対策』、『5%レベルの経済成長』、『実質金利抑制』の同時目標達成に置き換えられつつあるとの見方を強め、マクロ経済安定を犠牲にした産業の『救出』との批判も出ている。Dilma Rousseff大統領支持率は3ヶ月で5ポイント上昇し77%に達した。政権支持率は56%と横ばい。


(2012年 2月号)

<レアル高阻止に苦慮>

欧中銀などの国際的な流動性急増を背景に、政府はレアル高を抑制する手段として外貨ローン・起債を対象に金融取引税(IOF)の課税範囲を期間2年から3年へ拡大した他、レアル高を阻止するための追加措置を事前予告なしに講じる方針を示した。今回措置の効果を疑問視する金融市場では、政府が投機資金流入を抑制すべく政策金利引下げを加速するとの見方もある。13年に向けたインフレ見通しが上昇し 政策金利はリスクゾーンに突入したとの指摘もある中で、中銀は、現行経済成長は潜在成長率以下にあるとして通貨政策緩和の妥当性を主張。工業部門に回復の兆し。


(2012年 1月号)
 

<経済政策、パラダイムの変化>

インフレ見通しが目標値を上回るにも拘らず、中銀は一桁の政策金利を目標に引下げを継続する方針を明らかにした。中銀・財務省の協調によって通貨政策に柔軟性を持たせ消費に代わる投資を柱とした経済成長を追求する動きが鮮明になっているが、今後の引下げは今迄以上の財政緊縮の努力が必要とされている。プライマリー黒字目標達成と投資拡大を両立させる可能性を疑問視する向きも多く、インフレ目標中心値追求を放棄した通貨政策はリスクを孕んでいるとした批判も再燃している。アルゼンチンの保護措置強化に加え、伯政府が対メキシコ自動車協定破棄を示唆するなど貿易赤字拡大が保護措置導入の動きを強めている。

 


(201年 12月号)

<困難な選択肢>

中銀は2012年経済成長率を3.5%と現実的な予測を示した。経済活動の弱まりに直面する一方で、12年イインフレ目標(中心値)達成不可能のリスクもある。インフレ率・生産性を上回る最低賃金引上げは火に油を注ぐことを意味し、更に2年後の大統領・州知事選挙を控えた12年全国市長選挙は予想外の支出を齎す可能性があり新たなインフレ要因となる。このような『低成長・プライマリー黒字低下・インフレ上昇』の環境下で中銀がどのように通貨政策(政策金利)を誘導して行くかが焦点となっている。


(201年 11月号)

<景気促進措置、経済政策方向転換>

欧州債務危機が深まりを見せる中で、政府は来年に向けた経済成長を誘導すべく一連の景気促進措置を発表し、2010年末に導入した景気抑制措置の解体をスタートした。金融市場は、これら措置はリーマンショック時と異なり『予防措置』であり経済的効果は薄いとみている。個人消費促進を目的とした融資緩和や白物家電の工業税引下げ、インフレプレッシャー抑制を目的としたパスタの工業税引下げ以外に、株式等への外貨資金のIOF税を撤廃した。第3四半期のGDP伸び率がゼロ成長となったことで、マンテガ財務相は融資緩和を目的とした追加措置導入を示唆した。


(201年 10月号)

<通貨政策に政治的プレッシャーの高まり 国際信用危機で>

国際信用危機と国内景気抑制措置を背景に経済成長の減速が観測され、金融市場は11年・12年GDP成長率予想を下方修正する傾向にある。インフレプレッシャーは最悪の事態を脱したとされるも予断を許さぬ状況にあり、国際信用危機波及を先取りして政策金利引下げに踏み切った中銀の判断は未だ『危険な賭け』とみる向きが多い。政策金利は引下げ傾向にあるも、大統領の意向として中銀に対する成長目標追求へのプレッシャーが予想され、インフレ目標政策の運営に影響を及ぼす可能性が危惧されている。


(201年 9月号)

<経済政策を巡る議論過熱 インフレ・プレッシャー要因の強まり>

政治面では汚職摘発を強め国民の支持を得ているRousseff大統領だが、経済面では経済政策のヘテロドクス的色彩が濃くなる中で激しい議論を巻き起こしている。中銀の予期せぬ政策金利引下げや輸入車を対象としたIPI追加課税導入は経済政策の転換を意味するものとして、長期に渡りマクロ経済を支えて来た三脚(インフレターゲット・財政均衡・為替変動相場)が揺らいでいると指摘するエコノミストも多い。短期資金流出・利益配当送金拡大等によるレアル安も新たなインフレリスクとなりインフレ目標値達成が危ぶまれる状況にも拘らず、中銀は政策金利を更に引下げる(リスクを負う)方向にある。


(201年 8月号)
      
<通貨政策調整 インフレ抑制と成長のはざまで>

中銀は世界経済の見通しが著しく悪化したとして基準金利を引下げた。インフレ率を上回る賃金調整などがプレッシャー要因となる中の予期せぬ引下げに、中銀は政治的圧力に屈したとの指摘も多い。政府は、中銀の金利引下げを促す環境整備のため年内の歳出削減強化を発表する一方で、寛大な最低賃金調整や産業政策の税制優遇措置導入などは矛盾するとした批判もある。製造業の成長鈍化が鮮明になる一方で、小売部門は雇用や購買力が寄与し未だ勢いを残している。第2四半期GDP成長率は0.8%と景気減速を反映。市場は本年度GDP成長率見通しを下方修正する傾向にある。


(201年 7月号)
     
<国内産業の競争力強化を模索>
レアル高による輸入品流入の拡大と内需減速を背景に工業生産が市場予想を上回る落込みを観測し、今年のGDP成長率が下方修正される動きの中で、政府は、デリバティブ市場に介入することでレアル高対策を強化し、また国内産業競争力の強化を目的とした新産業政策『
Brasil Maior』を発表した。中銀はインフレ目標中心値達成を2013年に更に延期し経済成長を誘導して行くとした見方が強まっている。新産業政策に関しては、『消極的で不充分』とする見方が多い。


(201年 6月号)

<通貨政策に柔軟性>
政府は、世界経済の不確実性を理由に2013年インフレ目標を9年連続の4.5%に設定し通貨政策に柔軟性を持たせた。加熱気味の雇用環境下の賃金調整は新たなインフレ・プレッシャーの一因となっており、金融市場では依然として来年の目標中心値達成を疑問視する向きが多い。国際格付け機関ムーディースは伯ソブリン・リスクを引上げたが、1−5月経常赤字は過去最多を記録するなど予断を許さない状況にある。不安定な世界経済環境において持続的成長を可能とする為の財政面などの構造改革の必要性があらためて指摘されている。
   


(201年 5月号)

<疑問視されるグラデュアリズム>
インフレプレッシャーは小康状態にあるもインデクセーション再燃の懸念がくすぶる中で、インフレ目標追求を12年へ延期しインフレ抑制と経済成長の両立を図る傾向にある中銀の通貨政策を疑問視する声が市場で多く聞かれる。工業生産の減速や貸出リズムの鈍化が観測される一方で、第1四半期GDPや雇用状況にさほど衰えはみえず。通貨政策に関する中銀の独立性は大統領の意向とされているが、パロッシ官房相の不正疑惑などで政治的に苦しい局面にある中で中銀が12年インフレ目標追求の厳しい役割を全うできるかが注目されている。


(201年 4月号)

<不信感払拭の必要性 インフレ対策優先に軌道修正か>
Dilma
政権の『経済成長を損なうことのないインフレ対策』に今迄マクロ経済の安定を支えてきた柱(変動為替相場制・財政均衡・インフレ目標)が揺らいでいるとした指摘もある中で、中銀は基準金利引上げによるインフレ目標追求を新たに表明。しかし、消費抑制措置が採られる一方で依然として500億レアルの支出削減の概要は発表されておらず国庫は優遇金利で貸出を行うBNDES向け大幅な資金供給を続けている。満足の行くインフレ対策効果が得られず政府内での意見対立も表面化する中、大統領は短期的にはレアル高ではなくインフレ対策を優先する方針を明確にした。


(201年 3月号)

<インフレコントロールに苦慮>

基準金利引上げ、政府支出削減、貸出抑制措置導入などにも拘らずインフレ見通しが上方修正される状況下、中銀は、経済的代償が大きすぎるとして11年インフレ目標中心値の追及を断念した。政府は更に、主に民間企業によるアービトラージを抑制すべく外貨ローン(二年未満)のIOF税率引上げを発表。基準金利引上げは投機資金流入を加速させレアル高の『副作用』を齎すとして、最近マクロプルーデンス措置を合わせ用いる傾向にあるが、中銀と大蔵省の協調政策は中銀の独立性を脅かすものとした批判も出ている。今般のFitchによる伯国債格付け引上げも外貨流入を加速させる新たな要因に。


(201月号)

<インフレ誘導が焦点に>

インフレ見通しの高まりによるインデクセーション復活のリスクが懸念される中で、政府は支出削減を発表するも、インフレプレッシャー軽減効果に乏しい内容となり金融市場の不信感は払拭されず。原油高などの外的要因もあらたな懸念材料となっている。経済・工業生産成長見通しが共に下方修正される一方でインフレは上方修正される傾向にあるが、貸出規制引締めによる消費抑制の効果は未だ不透明な状況にある。2010年GDP成長率、7.5%と家計消費の勢いを受けて86年以来の高レベルに。


(201年1月号)

<中銀、インフレ目標追求と『マクロプルーデンス』>
根強いインフレプレッシャーと世界的過剰流動性に鑑み、中銀は、基準金利を用いてインフレ目標を追求すると同時に『マクロプルーデンス』の視点から金融システムの安定を追及して行くとした新たな方針を示した。同手段が用いられることで金融市場オペレーターにとっては不透明さが増すことになる。過度の外貨流入は国内流動性を高め資産価格(含為替)上昇を招く要因となっており、今年は更なる経常収支の赤字幅拡大が予想されている。マンテガガ蔵相は、3月末に終了する設備、トラックなどを対象とした投資支援プログラム(PSI)を延長すると発言した。


(2010年1月号)

<新政権、経済面の課題>

11年のインフレ見通しが上向く中で、年初の基準金利引上げは避けられないとする見方が広まっている。先般の消費抑制を目的とする流動性引締め措置は既に市場金利上昇を招いており、基準金利引上げはレアル高に『火に油を注ぐ』一因とされている。新大統領は金利引下げに不可欠な財政均衡追及に言及するも、市場では為替対策を優先するとした見方が高い。留任が決定したマンテガ蔵相は、PAC投資の財源不足を補うべく民間部門の長期資金調達・供与を促進する一連の措置を発表した。
 

      

 

(2010年11月号)
     
<通貨引締め措置導入へ>

中銀は、銀行が預かる当座預金や運用資金などに課される強制預託金比率を引上げるとともに、個人向け貸し出しに対する規制強化を発表した。インフレ予想が上方修正される中で、銀行の長期貸出しを抑制し消費を減速させる狙いがあり、新車販売の重要な手段である自動車ローンなどへの影響も危惧されている。市場では基準金利引き上げを11年初期に引き伸ばす一時的手段とみる向きもある。


(2010年10月号)
     
<財政政策が焦点に>

Dilma Rousseff次期大統領(PT)の選出は、通貨・為替政策に大きな変化を齎すものではないとする見方の中で、中銀が今後の通貨政策は財政政策に依存すると明確に指摘するなど、金利動向に影響を及しブラジルリスクプレッシャーや企業競争力を左右する財政政策は次期政権の最大の課題とされている。税負担引下げによる伯製品の競争力強化が必要な国際環境の中でのCPMF復活の動き、又緊縮財政に対する姿勢を見極める一つのキーとして最低賃金の決定に注目が集まっている。


(2010年9月号)
    
<為替が課題>
  

キャリートレードやペトロブラス増資等を要因としたレアル高の深まりの中で、政府は短期外資流入に対する金融取引税(IOF)引上げを発表した他、世界レベルで「為替戦争」の妥協策を見出す必要性に言及した。経済安定を支えて来た3本の柱(変動為替・インフレ目標・均衡財政)を揺るがすことなくレアル高が齎す経常赤字や産業空洞化にどのように対応して行くかが次期政権の課題となっている。財政緊縮は重要な金利引下げの一手段だが、今年のプライマリー黒字目標が会計操作によりかろうじて達成可能な状況にあって、ワールドカップやオリンピックの大規模イベントにむけた投資能力を損なわせる懸念要因ともされている。


(2010年8月号)

<経済成長の持続性が焦点に>

中銀は、伯経済成長は減速傾向にあるとして基準金利を据置き通貨引締めサイクルを中断したが、第2四半期の予想を上回るGDP成長率の発表を受けて本年度経済成長見通しを上方修正する市場の動きが観測されている。家計消費の弱まりに対し政府消費が拡大しプライマリー黒字の減少を招いた。現政権で膨張した政府経常支出の引締め、レアル高・経常収支赤字・投資対策が経済成長を持続させるための次期政権の課題として指摘されている。


(2010年7月号)

<経済指標の矛盾と不透明な金利動向>

不安定な世界経済環境に加え、国内では家電や新車在庫が拡大し工業部門の減速を観測する反面、建設部門の過熱やタイヤ不足・トラックの納車待ちが目立ち、更に雇用・所得に関するデータは今後数ヶ月の需要の持続性を示すなど経済指標の矛盾が指摘されている。このような状況下、中銀は、基準金利引上げピッチを緩和した。ルラ政権初期から独立性と透明性を全うしインフレ目標を追求して来た中銀だが、今回の時期尚早で前回インフレレポートと矛盾する引上げピッチの緩和に対する批判も聞かれ、数ヵ月後に迫った大統領選挙を意識した政治的決断とみる向きもある。


(2010年6月号)

<経済調整、適切な成長への課題>

中銀は過度の経済成長の調整を目的として基準金利を引上げた他、銀行融資拡大抑制を図るべく段階的な強制預託金引上げプログラムを発表した。14年迄に総額47億レアルの流動性引締めを見込む。伯経済のソフトランディングを予想するエコノミストが大半を占める中にも、今後の金利引上げ、高レベル止まりのインフレ、又経常収支赤字幅拡大の可能性が指摘されている。次期政権が公共支出拡大を抑制する可能性に関して、質を伴わない財政引締めによる通貨政策への負担加重の懸念も出ている。


(2010年5月号)

<景気減速を観測>

景気支援措置の終焉を受けて既に自動車や白物家電市場の成長ピッチ減速が観測される中で、過熱状態にあった1Q(年間レベルで12%)から年末を目処に5%レベルへ大幅な経済成長の調整が予測されている。政府は経済過熱を抑え金利引上げを軽減する手段として今年の国家予算の追加削減を発表したが、税収増加にも拘らずプライマリー黒字目標達成が困難な中での苦肉の策と見る向きもある。


(2010年4月号)

<通貨政策、景気調整へ>

景気過熱を受けて今年のインフレ予想が目標中心値を上回りGDP成長率が上方修正される中で、中銀は政策金利の大幅な引上げに踏み切り独立性を証明した。主に選挙の年の政府支出拡大で税収拡大にも拘らずプライマリー収支が赤字に転じたこともインフレ・金利上昇要因となっている。金利が上昇サイクルに転じたことで生産部門では反発する声も出ているが、金融市場では『高成長の持続性を維持する条件が未整備のブラジルでは必要な措置』とする見方が大半を占める。
 

(2010年3月号)
   
<経済成長ピッチ調整へ> 

インフレ均衡を保ちながら経済の持続的成長を維持して行くには急ピッチの成長は好ましくないとする見方が高まる中で、4月の基準引き上げは確実となっている。最近緩やかながら投資の回復が観測されているが、投資ではなく官民の貯蓄を犠牲にした消費拡大が齎す経常赤字拡大は政府経費拡大と共に懸念要因とする指摘が高まりを見せている。政治的思惑が外れたMeirelles 中銀総裁はルラ大統領の意思を汲み留任の意向を表明。


(2010年2月号)

<中銀、流動性引き締めへ インフレ抑制手段とも>

経済成長リズム鈍化の兆しも観測されている中で、中銀は流動性引き締めを目的とした金融機関の強制預託金引上げを発表した。金融危機到来時に緩和した流動性の調整が目的としているが、市場ではインフレ抑制のための基準金利引上げを延期する手段とみる向きもある。それに対しMeirelles中銀総裁は、選挙に左右されることなく金利引上げは技術的根拠のみをベースに実施するとした認識を表明。同措置発表に伴い、既に先物金利の上昇が観測された。悪化する経常収支は今年の主な懸念要因の一つに。



(2010年1月号)

<通貨政策舵取り、大蔵省と中銀の攻防>

アナリストの一部が今年のGDP成長率を6%超と予測するなど短期的な基準金利引き上げは免れない状況の中で、マンテガ蔵相は可能な限りの手段を用いて中銀の金利引上げを事前に阻止する動きを見せている。実質的なプライマリー黒字目標の達成、ガソリン税の引下げ、景気対策を目的とした減税措置の廃止などにより経済成長のコントロールを試みる。経済成長がインフレに与えるインパクトに関し、過度の成長はないとして選挙の年の金利引上げを阻止したいマンテガ蔵相と、給与・小売・融資の成長は持続的帯域を越えたとするMeirelles中銀総裁の攻防が鮮明に。


(2009年12月号)

<経済過熱でインフレプレッシャーの懸念>

内需拡大を背景に製造業の稼働率が08年半ばのピークに迫る中で、中銀は投資動向をフォローして行くとするも、インフレプレッシャーを抑制する手段として基準金利引上げを示唆すると共に他手段を用いた流動性引締めの可能性が高まっている。ブラジルソブリンファンド(FSB)の規制化を受けて国庫によるドル買いが可能となったことに関して、大蔵省は中銀の通貨政策を破壊するような中銀との対立は有り得ないとするも、新たなプレイヤーの参入による今後の為替動向に市場の注目が集まっている。


(2009年11月号)

<消費促進措置延長へ>

マンテガ蔵相はフレックス車、白物家電、建材、家具などを対象に税制優遇措置の延長及び新設を発表した。民間部門の間で与党大統領候補の基盤を固めるためのルラ大統領の政治的思惑があり、10年は5%台の経済成長が見込まれる中で家計消費を促すための『反循環的』経済措置採択の矛盾性が指摘されている。レアル高抑制を目的として先般導入した海外投機資金に対する金融取引税(IOF)を補足・是正するため新たに海外預託証券(DRs)に対し1.5%IOF課税を発表。レアル高と景気回復を受けて貿易収支が圧縮傾向にあり、経常収支悪化の深まりが懸念要因となっている。


(2009年10月号)
    
<レアル高対策にみる攻防>
マンテガ蔵相はレアル高を抑制する手段として、定期・株式市場に流入する海外投機資金に対して2%の金融取引税(IOF)の課税を発表した。歳入不足を補う目的もあったとされるが、大統領選挙を来年に控え、中銀の通貨政策に対抗する政治的決断との指摘もある。政府の積極財政のつけが今年のプライマリー黒字目標の縮小を招いた後のレアル高を巡る議論において中銀は防御的だ。世界的ドル安傾向の中で人工的な操作では解決できないとする中銀に対し、蔵相は効果の薄さを認識していたにも拘らず中銀の『透明性』を断ち切る必要があった。税負担軽減措置等を重視する中銀の主張は正しいとするも、大統領府・大蔵省は過剰投機を抑制する切札があることを市場に伝えるのが目的だったとされている。
   


(2009年9月号)

<財政均衡の持続性が焦点に>
財政政策に関するコメントには常に控えめな中銀が、インフレレポートで政府支出拡大は中期的にインフレプレッシャーとなるリスク要因と指摘したことで大蔵省との論争が再燃している。公務員給与引上げなどによる政府支出拡大は構造的に財政均衡の持続性を脅かすとしている。一方で消費の促進を柱とした危機対策による『新たな経済成長サイクルの始まり』にもかかわらず固定資産投資は前年比17%の落込みが観測されており、インフレ要因となる可能性もある。大蔵省は、(来年の大統領選挙を控え)支出拡大を維持する一手段として算出方法の調整でプライマリー収支目標の引下げを試みる動きに市場の批判の声が高まりを見せている。


(2009年8月号)

<通貨政策、政治的プレッシャーの懸念も>
レアル高による輸出減退が投資を遅らせ経済回復の勢いを妨げるとの批判もあるが、鉱工業生産は7ヶ月連続でプラス成長を記録するなど内需主導で景気が回復基調にあることを裏付けている。一方で来年の大統領選挙に向けた金利引き下げプレッシャーも予想され更には中銀総裁が州知事選挙出馬(3月に辞任)を表明していることも金融市場の動揺を招く恐れがあるとした懸念も出ており、今後の通貨政策に注目が集まっている。


(2009年6月号)
  
<インフレ目標値設定、政治的決断か>
政府は、税収低下にも拘らず自動車・資本財・白物家電等の分野を対象にIPI低減措置延長等による支援措置を維持・発表した。通貨政策面では、ルラ大統領の後押しもあって経済スタッフの反対を押し切って11年インフレ(中心)目標値を10年インフレ予想を上回る4.5%に設定。選挙に向けて『余裕』を設ける意図が明らかとして、レアルプランの成果をリスクに晒す可能性があると批判されている。中銀は、基準金利引下げ効果を見極める時期にあるとして引下げサイクル終了の可能性を示唆。


(2009年5月号)

<景気回復の兆し レアル高を巡る議論再燃>
中銀の為替市場介入にも拘らず生産部門や株式市場等への外貨流入が加速しレアル高要因となっているが、あくまでもインフレ目標値追求に慎重な中銀に対し大蔵省は積極的な金利引下げと外貨準備高引上げの必要性を主張するなど政府内で議論が再燃している。小売部門を始め工業部門全体に緩やかな回復の兆しを観測。中間財、資本財部門は未だ調整段階にあるが、第3四半期工業生産は3%の過去10年の平均レベルに回復するとした予想も。長期自動車ローンの復活も観測され消費者信頼度が上向いた。


(2009年4月号)

<財政政策の緩和>
政府はプライマリー黒字収支目標を対GDP比3.8%から2.5%へ引下げた。景気促進などの支出拡大を可能とするためであり、既に景気回復や主に個人向け貸出しに復活の兆しが観測される中で、中銀の基準金利引下げは慎重なものとなった。国内経済活性化と雇用創出を謳った100万軒の大衆住宅プログラムは10年に向けた労働党の大統領選挙キャンペーンの柱とする狙いが伺え、政治的色彩の濃い措置として批判の声が高い。市場(Focus)の09年GDP成長率予想がマイナス0.39%へやや改善。


(2009年3月号)
     
<低金利局面での新たな課題>

主に中堅銀行の流動性を潤し銀行間の競争を促進することでスプレッド低下を図るべく、政府は長期預金保証額を60千レアルから20百万レアルへ引上げた。年内に一桁へ基準金利低下が見込まれる局面にあって、価格インデクセーションのなごりの払拭なども新たな課題となっている。政府は更に解雇を回避する手段として自動車産業支援措置の延長や建材の税制優遇措置を発表する一方で、減税分を部分的にカバーすべく煙草の税率引上げを発表。景気悪化に伴う失業の懸念から、連邦政府・ルラ大統領の支持率が共に大きく低下した。


(2009年2月号)

<税収低下が危機対策の足かせに>
政府は税制優遇措置、直接投資、中銀による金融市場の流動性緩和を目的とした資金注入など一連の危機対策を講じてきたが、プライマリー黒字目標達成が危ぶまれる大幅な税収低下を受けて、危機対策の見直しを余儀なくされている。このような状況下、積極的な基準金利引下げの必要性が指摘されているが、公務員給与引上げなどで拡大する政府経常支出は中銀の措置を妨げる一要因となっている。新車販売、電力消費などは上向いたが、業種によってバラツキがあり未だ慎重な見方が多い。


(2009年1月号)

<鉱工業生産に打撃>
市場予想を上回る鉱工業生産の激しい落込みと投資サイクルの中断がIBGEの統計で示された。自動車や電力関連部門の稼働率に微少ながら回復も観測(FGV)されるが、全体的な感染の広がりが人員削減の懸念を強めている中で09年GDP成長率が下方修正される傾向にある。危機を甘く見た政府の対応の遅れが批判されているが、ルラ大統領の支持率は依然として高く、回復への信頼の厚さが示されている。政府は公共投資強化や輸出部門に対する支援措置を検討しているが、産業界やエコノミストの間では基準金利引下げを加速する必要性を指摘する声が高まっている。


(2008年12月号)

<実体経済支援措置、解雇の懸念>

政府は新車の工業税引下げや中産階級の消費を促す為の個人源泉所得税引下げを含む一連の減税措置を発表した他、企業の外貨返済資金として外貨準備高を金融機関経由で貸付ける制度の導入を検討している。これは、中銀主導の金融支援から実体経済支援へ政府のアクションが第2段階へ移行したことを意味し、第3段階は不安な情勢が投資や消費を落込ませる悪循環を回避することにあるとされるも、解雇を回避するための労働条件緩和に向けた労使交渉に注目が集まっている。


(2008年11月号)
   
<インパクトの度合いを注視・解雇懸念の強まりも>

政府の救済資金支援を受けて流動性緩和の兆しも観測されるが、政府経済スタッフは09年の成長リズムを見極めた上でIOF(金融取引税)の追加引下げや個人所得税見直し等も検討するとしている。工業生産が落込み解雇の懸念が強まる中で、市中銀行の貸出は期待を下回っているとして政府の貸出活性化の『処方箋』は誤りとする指摘も出ている。CNIアンケート調査で、企業の運転資金調達が困難になったことや販売の落込みなどで57%が09年投資計画をキャンセル又は無期延期した結果が示された。


(2008年10月号)

<金融危機、景気対策優先へ> 世界的な金融危機が齎した流動性危機への緊急対策として、政府は金融機関の強制預託を更に緩和すると同時に被害が最も懸念される農業部門を含む市場の流動性緩和を試みるも、金融機関の貸し絞り等から融資に依存する自動車などの需要が落込んだ。トレードライン供給に平常化の兆しも見られるが、企業の運転資金のコストアップは避けられない状況にある。j高によるインフレプレッシャーも既に観測されているが、中銀は基準金利を据置き今回は景気対策重視の決断を下した他、政府は09年プライマリー黒字目標の緩和を決定した。


(2008年9月号)
    
<国際金融危機、融資ラインに影響>

国際金融危機を受けて、トレードラインが枯渇し輸出前借りがほぼ不可能になった他、運転資金調達コストが上昇するなど企業への影響が観測されている。中銀は強制預託金を見直すことで流動性を緩和した他今後の基準金利引上げも前倒しで緩和する可能性が高まっているが、世界経済減速によるコモディティ価格の低下など輸出への影響や今後の新規プロジェクトへの対伯直接投資流入の落込みも懸念され、09年に向けた不透明感が高まっている。


(2008年8月号)
   
<財政目標とインフレ目標(通貨政策)>
工業生産の成長リズムの減速が観測されるものの、需要の勢いや工業部門の稼働率などから基準金利引上げの継続が予測される中で、マンテガ蔵相は債務に及ぼす金利のインパクトを把握する必要があるとして、今迄のプライマリー収支ではなく10年以降名目収支を指標とする方針を表明し会計基準の変更を発表した。現行通貨政策に批判的な蔵相の動きに、中銀の独立性を正式に確立する必要性が指摘されている。金利引上げ緩和(需要抑制)の一手段としてリース契約をIOF課税対象とする試みも。


(2008年7月号)

<インフレ抑制、通貨政策と財政政策の足並み揃わず>
インフレ再燃が懸念される環境の中で、中銀の通貨政策のみに依存し公共部門の支出削減がなされないインフレ抑制措置は、過剰な金利引上げの犠牲を払うことになるとした批判の声が市場で広がりを見せている。工業生産は自動車販売などの耐久消費財部門が寄与し上期は4年振りの高成長を記録する等、生産や投資計画に金利引上げの影響は未だ観測されていない。


(2008年6月号)

インフレ抑制と安定成長が課題
原油高騰などの世界的なインフレ圧力を背景に国内価格プレッシャーの広がりが観測されインフレスパイラルの懸念も浮上する中で、上期輸入が前年比50%増と輸出の約2倍の成長率を記録する等レアル高が経常収支の悪化を齎している。経済成長の牽引車となってきた個人向け貸出しに金融引締め効果が微小ながら観測されるも、インフレ抑制手段としての金利引上げはレアル高要因でもあることから、インフレ対策と共に持続可能な経済成長の誘導が課題となっている。


(2008年5月号)

財政と通貨引締め政策へ
インフレ再燃抑制の為の基準金利引上げによる金融引締め強化が避けられない状況にある中で、マンテガ蔵相はレアル建てによるソブリンファンド設立を発表した。プライマリー黒字収支の引上げを意味する同ファンド設立は、中期的なインフレ抑制効果が期待できると共に対GDP比債務残高縮小に貢献するものとされている。S&Pに次ぐFitch格付け機関による伯ソブリンリスクのグレードアップを受けて、短期運用資金や対伯直接投資に加え国際市場での資金調達による外貨流入が今後更に加速する可能性が高まっている。


(2008年4月号)

<レアル高環境の深まり>

中銀が基準金利を引上げた事に加えS&P国際格付け機関がソブリンリスクを投資グレードへ引上げた。中銀の通貨引締めサイクルは短期的で経済成長に多大な影響を与えるものではないとの見方が多いが、レアル高が深まる状況において金融市場への外貨流入が今後更に加速する傾向にある。既に貿易赤字や利益配当送金拡大が急速な経常収支の悪化を招いており、投機等の外貨流入に対する規制導入を検討する大蔵相を中心とした動きが観測されている。


(2008年3月号)
   
<国内需要抑制への動き>

インフレ予想が目標を上回る傾向にある中で、金利引上げにより需要・供給の不均衡を是正しあくまでもインフレ目標を追求する方針を示す中銀に対し、レアル高を受けて悪化する経常収支を危惧し金利引上げ阻止を試みるマンテガ蔵相や、『インフレ目標』に代る通貨政策として『為替目標』を推奨する政府内の動きも観測されている。鋼材値上げの転嫁を懸念する蔵相は経済成長の牽引車である
自動車販売を抑制すべくローン返済期間の規制も試みたが実施には至らず。大統領選挙に向けて経済成長を持続させたい思惑がある。
    


(2008年2月号)

<極端なドル安、通貨政策見直しの必要性も
中銀は外貨準備高や民間部門の資産を含むブラジルの外貨資産が初めて官民外債額を上回ったと発表した。長年に渡る債務返済問題などの脆弱性の克服を意味する歴史的事柄としている。格付け機関による年内の投資グレード供与の可能性も出ている中でドル安の深まりが観測され、金利引下げの必要性が改めて指摘されるなど為替を巡る議論が再燃している。


(2008年1月号)

<流動性引締めへ>
税収補填を目的とした
IOF(金融税)税率引上げを含む一連の措置に加え、中銀のリース事業者を対象とした強制預託などの流動性引締め措置発表は、金融機関の貸出金利の上昇を齎すものとして今後の貸出拡大ピッチ減速が予想されている。インフレ推移次第では更なる強制預託金引上げが予想される他、米金融危機の影響による資金調達コストプレッシャーも懸念される中で今後の中銀の舵取りに注目が集まっている。


(2007年12月号)

<インフレが最大の不安要因>

貸出しの活性化を原動力とした経済の過熱がインフレ環境の悪化を招いているとして、中銀は金利引下げに対する慎重な姿勢を維持。投資率は拡大傾向にあるも短期的な供給ネックを懸念。今迄の金利引下げの余韻が08年経済成長を促して行くとみられているが、
CPMF延長法案の否決を受けて大蔵省が発表した金融税引上げを含む一連の措置は、税収確保以外に景気減速効果も踏まえたものとされている。
    



(2007年11月号)

<通貨政策変更の試みか>
経済活性化に伴う税収拡大を受けてプライマリー黒字目標はスムーズに達成可能となったものの、債務の金利負担拡大や連邦政府の人件費等の経常的支出拡大などは国際危機への脆弱性を高めるものとした指摘が目立っている。更に、拡大する行政の経常支出を批判し健全化の必要性を指摘してきたIPEA(応用科学研究所)エコノミスト数名の解任は、マンテガ蔵相を初めポッシュマンIPEA新所長などの高度成長論者による現行通貨政策の変更を試みる動きとの懸念も出ている。


(2007年10月号)

<金利引下げ再開に期待>
工業生産と消費の成長ピッチの差が縮小し投資や生産拡大による工業部門の対応も観測されているが、通貨政策委員会は基準金利を据置き、2年間続いた引下げサイクルを中断した。政府経常支出がGDP成長率を大幅に上回るピッチで拡大する一方で、『プライマリー黒字の維持や金利引下げに必要』(中銀総裁)なCPMF(小切手税)法期限延長は未だ不透明な状況にある。米国政策金利引下げや伯国債格上げ可能性の高まり等が金融市場等への外貨流入を加速させており、金利引下げ再開に注目が集まっている。


(2007年9月号)
    
<国内需要の過熱を反映>
第2四半期GDP統計において、需要項目別では家計消費と設備投資の他に政府消費の成長率がGDP成長率を上回り、需要拡大の柱となると同時にインフレプレッシャー要因となっている。特に、拡大する政府の経常支出も懸念要因として指摘されるなど、今後の経済成長の過程において金利引下げサイクルの中断・融資引締めによる通貨政策の調整は避けられないとする見方が強まっている。製造業の設備稼働率が1977年以来の高レベルに達した。


(2007年8月号)

<新しい経済環境での成長が課題>
伯実態経済に対する国際金融危機の影響は未だ不透明だが、既に国際金融市場における流動性の圧縮は伯企業の外貨調達に影響を及ぼしている他、今後の国内貸出金利上昇や返済期間短縮など条件引締めの可能性も出ている。更に、為替の変動と国内市場の力強い需要の拡大はインフレプレッシャー要因となっており、10月以降の基準金利引下げサイクル終焉が予想されるなど、新たな局面での成長が課題となっている。



(2007年7月号)


<インフラ整備が焦点に>

力強い景気回復が観測される中で、プライマリー財政黒字収支は税収増加に支えられ目標を大きく上回っているが、航空危機悪化等インフラ問題が深刻化し、公共投資を含む政府の財政運営の不備が露呈している。マクロ経済指標の改善を背景に、投資グレードへの国債格付け引上げを先取りした外貨流入や衰えを見せない輸出等が更なるレアル高要因に。米国サブプライム住宅ローン問題に端を発した金融市場の変動が調整時期に入った基準金利引下げピッチに影響を与える可能性も指摘されている。


(2007年6月号)

<通貨政策に不安要因>

08年インフレ予想が4%レベルと目標値以下で推移するにも拘わらず、通貨審議会は09年正式インフレ目標を4.5%に設定した。最終的には(ルラ大統領の意向を受けて)マンテガ蔵相の主張が通った形だが、並行して中銀が4%の目標を追及すると発表したことに関し、市場では通貨政策の信憑性を揺るがし長期的に経済成長に影響を与えるものとした批判が相次いでいる。航空危機や上院議長の癒着疑惑が齎した上院議会危機にも拘わらず、好調な経済を背景にルラ大統領支持率は64%と高レベルを維持。



(2007年5月号)

<恵まれた経済環境が更なるレアル高要因に>
対ドルレートが2レアルを割込みレアル高傾向が強まる中で、インフレは目標以下で推移しカントリーリスクは過去最良値を更新、更に主要国際格付け機関による伯国債のアップグレードの可能性が高まっている。このような経済環境は、好調な国際経済を背景に更に外資流入を促進させる要因となっており、中銀の基準金利引下げ幅拡大への期待とプレッシャーが高まりを見せている。(中銀統計データは、ストの影響で発表されておりません)

 



(2007年4月号)

<通貨政策、成長路線へ誘導か>

大蔵省や中銀の経済スタッフ数名の交代を受けて、今迄の安定路線からマンテガ蔵相が主張する成長路線へ通貨政策が誘導される可能性が高まっている。安定した現在の経済環境を背景に産業界や消費者の経済への信頼度が高まる一方で、中長期的視野から投資環境の整備が急務と指摘されている。野党との接近を試みる政府の動きが目立っているが、財政均衡を維持する為に不可欠な
CPMFの延長を含む国会での重要法案の審議に向けて政治基盤を強化したい思惑がある。




(2007年3月号)

<為替レートが議論の焦点に>

マクロ経済指標の改善に加え、エタノールやインフラ部門への投資チャンス等が外資流入を加速させレアル高傾向が進む中で、為替レートの問題は経済政策を運営して上での議論の焦点となっている。地理統計院(IBGE)によるGDP算出方法の見直しで、経済活動に占める製造業のシェア−が縮小、為替のインパクトが指摘されると同時に、経済構造の変化を示すものとなった。輸入プレッシャーの拡大と輸出益の減少は、企業がレアル高に対応して行く為に必要な競争力強化への投資力を減退させるものとして懸念されている。



(2007年2月号)

<注目される第二次政権の舵取り>
   
中銀のコンサーバティブな通貨政策に対する労働党(PT)左派や政府内部の批判に加え、06年経済成長率が
2.9%の低レベルとなったことがプレッシャーとなり、中銀通貨政策局長を辞任に追い込んだ。今回の中国発株安連鎖は現時点で基準金利引下げ傾向への影響はないとされ経済活性化の兆しも観測される一方で、今年の経済成長に関しては依然として慎重な見方が多い。連立与党の形成を巡る交渉が纏まらずルラ第二次政権の組閣は未決定の状況にある事も停滞感を強めている。


(2007年1月号)

<疑問視される経済成長促進効果>

市場では、今般政府が発表した経済成長促進措置(PAC)によって経済成長を加速することは不可能とした悲観的見方が多い。公共投資を軸とすることから、財政への影響が懸念される他、実行に移すための政治基盤が必要となる。最も重要とされる民間部門投資を促進する為の税負担軽減等の改革は含まれておらず、ブラジルは好調な世界経済環境のもとに改革を実施するチャンスを逃したとの批判も多い。中銀の基準金利切下げ幅が縮小したものの、中銀の独立性を立証する事例となった。


(2006年12月号)

<財政路線変更へ 成長と投資が課題>
政府 はインフラ部門への公共投資拡大を含む一連の経済活性化措置の検討を進めているが、市場の期待に反し、プライマリー黒字目標を緩和することで財源を捻出する可能性が濃厚になっている。民間部門の投資拡大には税負担軽減を目的とした経常支出削減・公共債務残高削減が不可欠との指摘が高まりを見せているにも拘わらず、ルラ大統領はマンテガ蔵相が提案する額を上回る最低賃金を承認し、07年度国家予算承認において経常支出削減関連条項をカットする等、財政政策の変更を示した。


(2006年11月号)

<政府、短期成長路線選択か>
今後の世界経済環境の悪化も懸念される中で、年金制度の改革なくして5%台の持続的経済成長への道は開けないとした内外での声が高まりをみせているが、ルラ大統領は、増大する赤字幅の圧縮を改革ではなく運営改善により試みる方針を表明。プライマリー黒字算出の対象外とされるPPIプロジェクトを公共投資拡大の『手段』とする政府の試みも懸念視されている。今年のDGP成長率は3%以下に留まることがほぼ確実となり、成長鈍化が鮮明に。


(2006年10月号)

<経済成長が最優先課題、疑問視されるガバナビリティー>
再選を果たしたルラ大統領は経済成長を次期政権の最優先課題として掲げているが、持続的成長目標を達成する段階で不可欠とされる税制改革と年金システム改革を推進する為の政治的ガバナビリティーが疑問視されている。財政緊縮・為替変動相場・インフレ目標を柱とした基本経済路線は維持される見込みだが、PT幹部による金融政策の路線変更を示唆する発言や必要とされる支出削減が不透明な中で、大蔵大臣、特に今迄安定路線を主導してきた中銀の総裁人選に注目が集まっている。


(2006年9月号)

<次期政権での経済路線維持を予想>

労働党幹部によるセーラSP州知事候補(PSDB)の個人情報入手をめぐるスキャンダルは、一時的な金融市場の動揺を招き第一次大統領選挙でルラ大統領の勝利を遠ざける要因となった。金融市場は、旧労働党の社会イデオロギーの反映リスクを残すルラ大統領よりも財政改革推進等の観点からアルキミン(PSDB)候補の勝利を好む傾向にあり、決戦投票へ持ち込まれたことはプラス材料としている。市場は、ルラ・アルキミン何れの新政権においても現行経済路線は維持されるものと予想。


(2006年8月号)

<経済の冷込みが鮮明に>

依然として高水準で推移する実質金利に加え農業危機や輸出の勢いの衰え等が景況感を悪化させ、更に2QのGDP成長率が低レベルに留まったことで、今年の工業生産やGDP成長率予測を下方修正する動きが加速している。政府は、銀行間の競争を高めることで市場金利低下(銀行スプレッド縮小)を図るべく良好なクレジット・ヒストリーを収録した個人データベース創設を含む一連の措置を発表。融資拡大を大統領再選への『広告塔』としたい狙いもある。


(2006年7月号)

<依然として不透明な持続的成長モデル>

7月輸出高・貿易収支が共に最高記録を更新する一方で、輸出量にレアル高の影響が鮮明になっている。政府が発表した一連の為替緩和措置は為替規制の改正に向けた第一歩として評価に値するものの、更に外貨流入を促進させる要因を孕んでいるとしてレアル高への短期的な効力は薄いとする見方が多い。07年の新政権スタートを控え、信用危機を回避し持続的経済成長サイクルを齎す為の最重要課題として早急な財政運営モデルの見直しが提言されている。


(2006年6月号)

<経済成長誘導に向けた小刻みな調整へ> 

マクロ経済安定が奏功し国際金融市場変動の波及は小規模に留まっているも経済成長を誘導する為の通貨政策の小刻みな調整が要求される環境の中で、通貨審議会は『インフレ目標政策の信用確立を重視』するとして08年インフレ目標を3年連続で同率に設定。生産部門を対象とした長期制度融資の利下げが実施された他、7月には為替規制緩和の発表が予定されている。財政面では、政府は06年プライマリー黒字目標は達成可能としているものの、公務員給与調整プレッシャー等選挙要因による支出増加が目立っている。ルラ大統領の再選出馬が正式決定。


(2006年5月号)

<経済成長加速が課題>

ここ数年間の良好な世界経済とコモディティー国際価格はブラジルの国際収支改善に寄与してきたが、米国の政策金利引上げへの圧力の高まり等から金融市場が動揺。世界経済は調整期に入ったとの指摘もある中で、経済成長の加速が課題となっている。自動車産業を中心に大幅な人員削減が発表される等レアル高の影響が鮮明になる中、政府は競争力強化を目的とした一連の為替規制緩和の検討を表明。サンパウロ州を中心とした密輸犯罪組織(PCC)の暴動も投資環境に汚点を残した。


(2006年4月号)

<財政悪化への懸念、持続的成長が課題>

1Q公共部門プライマリー黒字は、目標を上回ったものの選挙を意識した公共投資拡大や連邦政府経常支出拡大により前年比大幅な低下を示し、投資を犠牲にした重税による黒字達成モデルが限界に。インフレ沈静化後の次ぎのステップとして財政健全化を重視する市場の声が今迄になく高まっているが、メイレレス中銀総裁とマンテガ蔵相との意見対立も伺われる中で、持続的成長への道のりは不透明な状況にある。ボリビアガス供給不安が今年の経済成長に影響を及ぼす可能性も出ている。


(2006年3月号)

<今後の通貨政策路線が焦点に>

市長時代のPT資金調達工作をめぐる汚職スキャンダルが尾を引き、ルラ政権のスーパーミニスターとして経済安定化の柱となってきたパロッシ蔵相を辞任に追い込み、後任に現行通貨路線を常に批判して来たマンテガBNDES総裁が任命された。現時点で政府は現行路線を維持する方針を強調しているが、金利引下げピッチ加速等政策調整の可能性や財政緩和の懸念も出ている。レアル高・金利高の経済環境において、アジア等の安価な原材料や資材を調達する企業の動きが加速し投資計画への影響が懸念されている。


(2006年2月号)

<積極的な債務管理がレアル高に拍車>

金利引下げ効果などを睨んだ海外投資家の内債購入への税制優遇措置や短期国債買戻しの発表、更にはモラトリアムのなごりであるブレイディー債の全面的な買戻しの発表が好感されてカントリーリスクが最低を更新し、S&Pによるソブリン債格上げも追い風となりレアル高に拍車をかけた。輸出企業の収益劣化に伴う今後の投資減退の懸念もあり、政策金利引下げピッチ加速が急務とされている。GDP成長率が低迷し通貨路線変更への政治的圧力も想定される中で、中銀の舵取りに注目が集まっている。再選を意識した公共工事等への支出増加に伴い、ルラ大統領の支持率が上昇。


(2006年1月号)

<通貨政策は慎重路線を堅持>

今後の金利引下げや公共投資拡大による景気回復への期待の中にも、過度の通貨引締策による後遺症が需要回復への勢いを妨げており金融市場と実質経済の温度差が指摘されている。政府としては、ルラ大統領再選キャンペーンの為にも景気回復を早期実現させたいところだが、通貨政策に関しては慎重な姿勢を崩さず。議会は昨年来の汚職問題を巡る攻防戦から未だ開放されず、06年度国家予算も未成立の状態。


(2005年12月号)

<経済活性化が最重要課題、再選に向けた地ならしへ>

成長率が低迷する経済環境を受けて、ルラ大統領は金利引下げを補足する措置として経済活性化を目的とした財政黒字収支の余剰資金の支出を加速するよう指示した他、各省による優先プロジェクトの選定・実行を06年最優先課題として設定。マクロ経済のファンダメンタルズ改善からカントリーリスクは過去最低の300ポイント台へ下降、年末にはIMF借款を前倒しで完済した。一方、大統領選予測調査の結果では初めてルラ大統領落選が示される等支持率が低迷している。


(2005年11月号)

<緊縮財政緩和へのプレッシャーの高まり>

パロッシ蔵相の市長時代の汚職関与が告発される中、過度の財政支出抑制に対する内部からの攻撃等から蔵相辞任説も流れたが、来年プライマリー財政黒字を今年の目標レベルに留めるとすることで打開した。来年の大統領選挙を控え、3QのGDP成長率が予想を上回る落込みとなった事も影響し、今後、歳出拡大や通貨政策緩和又は軌道調整へのプレッシャーの更なる高まりが予想される。ルラ大統領の支持率は50%を割込み、就任以来最低水準に。レアル高を受けて既に輸出量の減少が観測される中、来年に向けて金利引下げ・購買力上昇による国内経済成長に期待が集まっている。


(2005年10月号)

中長期経済成長確保に向けた動き

PTが02年にキューバ政府から選挙資金を受領したとする新たな疑惑が浮上する等の政局不安にも拘わらず、経済は現在の国際環境も奏功し安定して推移。難航していた一連の税制優遇措置等を盛込んだMP do Bemが政府側の譲歩で両院を通過した事に加え、中長期的な財政面でのガバナビリティー・経済成長確保を図る為、大蔵省を中心にプライマリー財政収支引上げ等の憲法補足案に関する協議が進んでいる。これに対し来年のルラ大統領再選を睨んだ歳出拡大を主張する内部反対派が抵抗を示している。


(2005年9月号)

低インフレ下の成長が課題

汚職疑惑で辞任した下院議長の後任選出では大統領府擁立候補が辛勝したものの、PT内・支持基盤亀裂の拡大を露呈、今後の議会運営難航が予想される。基準金利が下げに転じた他、伯史上初のレアル建てソブリン債発行の成功も経済の成熟を示すものとして共に好材料となったが、工業生産に陰りが見える中で、企業利益を蝕み輸出・投資減退への懸念要因となっている極端なドル安対策としても今後の更なる引下げが望まれている。ルラ大統領支持率は就任以来最低水準へ下落。


(2005年8月号)

経済は最後の牙城

汚職疑惑の焦点は大統領がこれををどこまで認知していたかに当てられており、世論調査での大統領支持率の下降や大統領選でのルーラ落選予想が初めて観測された。同時に不正選挙資金徴収への蔵相の関与が告発され金融市場の動揺が危ぶまれたが、一触即発の感の中にも現時点では安定を保っている。第2四半期GDP成長では二期連続で下降していた投資が上向き、実体経済の底固さを見せた。


(2005年7月号)

長期化する政治危機、ガバナビリティー確保への動き        

議会工作に絡んだ賄賂疑惑問題は、国会調査の進展に伴い疑惑がPTの中枢にまで及び、解決の糸口が見えないまま特に基幹産業等大型投資への影響が表面化している他、問題が長期化する事で現在好調に推移している経済のファンダメンタルズへの影響が懸念されている。現時点で疑惑がルラ大統領個人に及んでいないことも防波堤となり金融市場は比較的安定を保っているが、政権交代迄のガバナビリティー確保を目的とした与野党・政財界の話し合いが持たれる動きが出ている。


(2005年6月号)

ルラ政権最大の危機に遭遇 

郵便公社汚職疑惑解明の為の議会合同調査委員会設置で、PTによる野党議員買収等のスキャンダルが噴出し、Dirceu官房長官が辞任する等政府は政権発足・党設立以来最大の危機に見舞われているが、経済への感染は現時点で見られず。ルラ大統領は長期的な金利引下げの一手段として、Palocci蔵相の意向(党内の抵抗はかねてより強い)でもある名目財政赤字ゼロの目標達成の検討を指示する等、緊縮財政を更に推進する姿勢を強調。内閣改造(最大党PMDBの閣僚ポスト拡大)による政治基盤の建直しを図っているが、政治機能が麻痺している中で重要審議案を抱える国会は停滞状態にある。


               

ホーム】【BMWインデックス