「サンパウロの地下鉄」

伊東宏


昨日、昼休みにインターネットのラジオ・ステイションで文化放送を聞いていたら(地球の裏側でも日本のあらゆるラジオ放送を聞くことが出来る事はなんと便利になったことか)、東京の地下鉄のラッシュ時の混雑度は近年緩和し、数年前の混雑度192%から183%になったという。この混雑度は肩が触れ合うが新聞が読める混雑度という(因みに通勤電車で駅員が押し込む状態は280%という)。

これに対してサンパウロの地下鉄の混雑度は年々増加している。といってもラッシュ時でも限られた駅を除いて、日本でいう満員の通勤列車とは程遠く、のんびりしている。混雑度の指数が異なり正確な比較は難しいが、サンパウロの地下鉄のラッシュの混雑度は数年前が平米あたり4人であったのが、今年は7人になったという。それでもサンパウロ地下鉄の発達は遅れており、平日の利用者は250万人に過ぎない(フォーリャ紙11月3日付)。

職場がパウリスタ大通りの地下鉄の駅の真ん前であるので、夜の行事がある時以外は地下鉄で通勤しているが、面白い現象に気が付いた。ブラジル人というよりはラテン民族は近親者や友人・知人とは、あらゆる機会に抱擁したり、頬にキスしたりして愛情・親近感を表現するが(この私ですら娘とは会う度に頬にキスをする)、他人の身体に接触することには拒絶反応がある。

地下鉄の南北線とパウリスタ線が交差するパライゾ駅では、ラッシュ時には南北線から来た乗客がパウリスタ線の車両に殺到する。ところが中に居る乗客は前の人と触れまいとして、身体的な間隔を必死で置くから、乗り込もうとする乗客も必死で押し入ろうとする。日本的に言えばたいした混雑ではないのであるが、パウリスターノは慣れていないから、女性の悲鳴と「カバーロ」(直訳では馬のことであるが、ブラジルでは粗暴な男性への罵倒語として良く使われる)というシンガメント(罵言)が必ず起こる。こちらはそれを恐れて乗るときから、必ず出口の扉にへばりついている事としている。パウリスターノがラッシュの混雑と共存出来る日が来るのも、それほど遠くはないようにも思うが。。。


   

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