「ラテン・アメリカの生活のひとこま - 祖父母の授業参観」


                サンパウロ、 伊東宏

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8歳になる孫はカトリック系のミッシオン・スクールの小学二年生である。この

孫から手書きの「TARDE DE VOVOS」(祖父母の午後)という招待状を貰

った。孫は何度も電話してきて「来てくれるか」と出席の回答を催促する。私の

母は父の戦死後、家計を支えるため、勤務していたので、父母の授業参観日

に母親に来てもらった記憶がない。

自分の子供の時には、一応、企業戦士の端くれであったので、もちろん、子供

の授業参観に出かけたことはない。ところが、還暦を前にして生まれて初めて

授業参観の機会がやってきた。「バーチャンだけではないの」と孫に尋ねると、

先生は「バーチャンとジーコもお招きするように」と確かに言ったという。娘から

も「本当に行ってくれるの。行ってくれないならルカスが可哀想だから、自分が

行く」と脅迫され、二人でイソイソと、しかし、ドキドキしながら出かけた。家内も

朝からサロンに出かけおしゃれをし、私も久しぶりに一張羅いの背広に着替

えた。日本やアメリカの学校にも「祖父母の授業参観」などあるのだろうか。ブ

ラジルも近年、夫婦共稼ぎが多く、祖父母が孫の世話に関わる率も多くなって

いる。個人的な経験でも、老婦人のお葬式で当の娘が泣きもせず、けろっとし

ているのに、孫達がおばあちゃんの遺体の手にすがり付き、オイオイ激しく泣

きじゃくるのを何度も見た。こんなとき、この婦人の生前の孫へのやさしい愛

情が偲ばれる。

校庭で待っていると圧倒的に「おばあちゃん」が多く、「じいちゃん」は5−6人

でそれでも一人ではないのでホッとする。定められた時間に皆が集められ、ク

ラス名を書いた子供のカップルの後をゾロゾロそれぞれの教室に向かう。教

室は絵や画用紙に書かれた歓迎の言葉で飾り付けられ、机は隅に片付けら

れ、椅子が丸く並べられ、子供達はその中に床に全員座っていた。25人ぐら

いのクラスであろうか。なんとも懐かしい雰囲気である。恥ずかしがりやの孫も

今日はニコニコしている。祖父母がそろって来たのはこのクラスでは私達だけ

なのがうれしいのであろうか。生まれたときから内孫のように育てたこの孫に、

べったりの家内はもう興奮気味である。

祖父母たちが椅子に座り、一人一人が紹介された。今日は特別に子供達が

決めて招待状を出した学校関連の「老人ホーム」からも一人出席があって紹

介された。

先生の挨拶の後、子供達が一人ずつおばあちゃんに「子供のときはどんな遊

びをしたのか」「おばあちゃんが子供のときは、治安はどうであったか」「今と比

べて昔は良かったか」とかいろいろな質問がなされ、おばあちゃん達もほほえ

ましほど真剣に質問に答えていた。その後、祖父母のみが講堂に設けられた

「お茶」に招かれ、生達から菓子のサービスを受けながら、子供達のコーラス

発表を聞いてお開きになった。

後で娘に聞いたところに拠れば、この学校では毎年、二年生の祖父母を対象

に祖父母の授業参観がなされているという。実に味のある企画であると思っ

た。

 


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