再接近を模索するブラジルと日本

― 小島高明在サンパウロ日本総領事寄稿文 ―

   (Gazeta Mercantil515日付掲載原文)



経済のグローパリゼーションが進展しているが、多国籍企業によるM&Aを含む直接投資の増加が顕著であり、南米においても特に当国において積極的な進出が見られる。その一方で、南米とアジアのような、欧米以外の地域と南米の経済交流には依然深まりが見られない。同様の状況がアジア地域においても見られ、同地域の欧米諸国との経済関係が強化される一方で、南米諸国との交流は「忘れられている」ようにも伺える。経済の安定成長と効率化を考えた場合、想定し得るパートナーとしては、できるだけ多くの選択肢を持つべきであるが、南米とアジアの関係は相補うべき関係に立っていると考えられる。とりわけ伯日両国は、それぞれお互いに南米、アジア経済交流の拠点としてもふさわしい立場にある。
       
ここ数年ブラジルに対し欧米企業を中心とした投資のラッシュが続いている。アジア経済は、97年に発生したタイ、インドネシア、韓国を中心とした通貨・経済危機を経験し、以後厳しい局面を迎えているが、最近では回復基調にある。日本においても同様で、ここ10年の間景気の低迷が続いたが、最近になって企業経営者の間にようやく先行き期待感が広まっている。

南米とアジアの交流を考えた場合、伯日両国関係について言及することが必要不可欠である。伯日両国の関係が深い背景には約130万人の日系ブラジル人の存在がある。また、最近では日系ブラジル人が日本へ行く現象も忘れてはならない。
伯日両国は他の南米、アジア各国と比べて強い経済関係を築き上げてきた。しかしながら、その規模は欧米諸国に比して決して大きいものではない。特に貿易については距離が
輸送コストに大きな影響を与えることもあり、ブラジルの輪出入に占める日本のシェアもそれぞれ5%前後に止まっている。もし、輸送コストの問題が改善されれば、両国貿易が飛躍的に拡大することは疑いない。日本は、輪入原材料を加工して完成品を輪出する産業構造にあり、ブラジルの鉄鉱石およびアルミニウムといった鉱物資源等一次産品に対する需要が大きい。他方、ブラジルにとっても、電力や電気通信等インフラ部門等で日本の製品に対する潜在的需要は高いと思う。

投資については、かつて日本からブラジルヘは極めて大きな動きが見られたものの、最近ではやや陰りが出てきたように見受けられる。70年代にはウジミナス製鉄所等様々な大型プロジェクトが日本企業によって整備されたが、債務危機やハイパー・インフレの経験と最近の日本の長引く不況から日本からの投資に元気がなくなってきた。一般に日本企業は民営化入札あるいは企業買収は不得意であり、むしろ自分で工場を作って、経営規模を少しずつ拡大していく方が得意な趣がある。しかし、このような形態こそがブラジルの持続的な経済発展に寄与するものと考える。

また、リオ州沖で進められているペトロブラスと日本の商社がJBICの資金を活用して開発を行っている石油関連プロジェクトなど、最近ブラジルにおける日本企業の積極的な投資も生まれている。
 
こうした中、ブラジルの全国工業連盟と日本の経団連が主宰する伯日経済合同委員会も98年以降毎年開催され、本年も11月にブラジルで第9回の同委員会の開催が予定されている。特に、98年9月に開催された第8回同委員会では「21世紀に向けたアライアンス」構築に向けて貴重な課題を明確かした「アクションプラン」の作成が提唱されるなど、伯
日経済関係強化に向けた新たな動きが生まれつつある。
  
改めて強調するが、今後南米とアジアはグローバリゼーション経済の中、お互いの安定成長のために共に関係を強化し、新たなパートナー・シップを開拓すべきである。そのためには、伯日両国はその架け橋として重要な役割を果たすと考えられる。伯日両国の間には投資や貿易など経済交流を拡大するための十分な可能性が残されており、今後お互いの積極的な取り組みを期待したい。

以 上

 

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