“次期政権”経済スタッフ 新政権の経済・金融政策を語る
     
(Gazeta Mercantil紙10月11日記事要約)

2002年10月11日
日本アマゾンアルミニウム(株)


  • 「PT(労働者党)政権で政府の経済スタッフ、または中央銀行のボードの役を果たすために、必須条件となるのは、労働党政権下で起こるであろう “変化” に、責任を持って取り組める人間であるということだ」と、Aloisio Mercadante上院議員〔注〕は、昨日サンパウロ大学で行われた国際セミナーで語った。 Mercadante議員は、「新しく中央銀行の経営陣となる人間は、金融危機に対処できる能力をもち、なおかつマーケットを知悉するものでなければならない。中央銀行の新しい経営陣は、現在の経営陣とは違った人たちとなるであろうが、それらのプロフィールは、現在の経営陣のそれとあまり変わらないだろう」 と説明している。
     
  • また支払期限の近づいている、総額37億ドルのドル為替連動国債については、「我々は、中央銀行が強いアクションをとり、銀行の強制積み立て金を増やすことで、銀行が投機的なドル売買を行うことを阻止しなければならない。中央銀行は様々な投機 対抗手段をもっているし、Arminio Fraga現総裁はマーケットを熟知し、経験も深いので、為替危機が深まるのを阻止する術を知っているだろう」と述べている。
     
    Mercadante議員は、中央銀行はすでに、彼が指摘している方向で対策を取りつつあると述べ、(PTが政権をとったら)ブラジルが経済成長するために、最初に(新政府が)しなければならないのは、為替危機を乗り越えることであるといい、元蔵相であった Mario Henrique Simonsen氏が常に使っていた言葉を引用して、“インフレは経済を片輪にするが、為替危機は経済を殺す” との警告的な言葉を発している。
      
  • しかし誰を経済スタッフにしようと、次期政権はブラジルを経済的成長させるためにはかなりの困難を克服しなければならないのは確かである。現在の政府の国内債務は総額320億ドルという膨大なものであり、その他に大きな対外債務を抱え、基準金利は世界最高のレベルである。世界の経済状況はリセッション気味であり、海外の投資家たちは、ブラジルなどの開発途上国へ投資する意欲を失いつつある。「だからこそ新政権が一番始めにやらなければならないことは、輸出を増やし、貿易収支をさらに  改善することだ」と、Mercadante氏は語っている。
      
  • 新政権の目標は、貿易収支に悪影響を与えない部門、農業,住宅建設,それに衛生などの部門を成長させることである。また教育,保健は、新政権から priority がおかれることになる。しかし教育問題は、ブラジルの構造的な問題であり、一期の政権だけでは解決できない大きな問題でもあると、Mercadante議員はいう。
      
  • 2003年度の貿易収支予想は、当初の目標90〜100億ドルの輸出超に対して、150億ドルの輸出超(黒字)になると見られている。しかしこれらの成績を上げるためには、新しい農業奨励政策、新しい工業、新しい輸出計画などが行われなければならない。「我々はすでに航空産業や靴製造業のように、強い輸出競争力を保持する産業を持っている。これらの産業に不足しているのは、輸出を支援する商務外交だ」と、Mercadante氏はいう。彼は一例として、ブラジルの対米輸出の実に6割が何らかの形で、米国から関税などによる障害を受けていると指摘している。
       
  • またNAFTA(北米自由貿易協定)、およびEC との交渉は今後も続けなければならないが、新しいクライテリアをベースとして交渉すべきと、彼は言う。「我々は、(貿易において)わが国の主権を放棄してはならない。必要なのはわが国の産業を、“自由貿易圏”参加後に起こるであろう外国企業からの侵略から守らなければならないということだ。何故ならこの自由貿易圏の中には、ブラジルの25倍も金持ちで、生産効率も我々よりはるかに優れている国があるからだ。我々は相互恩恵があるということが明確に判るまで、我々の市場を開放することはできない。そしてそれは第1次産品だけに適用されるべきではない」と、Mercadante氏は厳しい口調で述べた。「両国間通商協定は、今後も交渉が続けられるだろう。我々と同じような条件下にある国々、例えば、インドや中国などのように、膨大なマーケットを国内に抱える国と協調するのも一つの方法である」と、Mercadante議員は最後に述べた。

〔注〕 Aloisio Mercadante(アルイ−ジオ・メルカダンテ)はPT(労働者党)下院議員。今年10月6日の総選挙では、ブラジルの政治史上、上院議員選挙としては最高の1,050万票もの票を得てトップで当選している。同氏は連邦下院でPTの代表を務めると同時に、PTの経済問題担当でもあり、PTのルーラ大統領候補の政権プランのコーディネーターを務め、また経済顧問でもある。頭脳明晰で弁舌に優れ、これまでもPTきっての経済通といわれてきた重鎮。PT政権が実現すれば、何らかの要職に関わってくるものと見られている。
     
サンパウロ出身で48歳、サンパウロ大学経済学部卒、UNICAMP(カンピーナス州立大学)とPUC(カトリック大学)で経済学講師を務めている。CUT (労働者中央連盟)の経済,社会および政治問題研究会の主要メンバーでもある。
     
[原題:“Os pensamentos de Mercadante"]   

                                         【NAAC-RIO小川要約


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