<ブラジル電力情報>


ルーラ候補
MAE廃止を提案

(Valor Economico紙 10月18日記事要約)

2002年10月21日
日本アマゾンアルミニウム


  • 〔次期大統領選で圧倒的優位にあるルーラ候補の所属する〕PT(労働者党)の電力政策プログラムは、現在カルドーゾ政権によって進められてきている電力モデルの構造的改革を目指しており、その中にはMAE(電力卸売り市場)の廃止、発電会社と配電会社間の電力売買契約の見直し、イタイプー水力発電所との電力購入契約の再交渉、およびボリビアからの火力発電所用天然ガス購入契約(ドル価格)見直し、最終消費者への電力タリフ見直し等がある〔表参照〕。
  • PTの電力政策プログラム作成のコーデイネイターである、Luiz Pinguelli Rosa リオ連邦大学教授(PT党員)は、カルドーゾ政権の電力モデルが失敗であることは周知の事実であり、配電会社は支出を収入でカバーできないと文句をいっているし、発電会社は(発電量を増加するための)事業をしてないし、庶民は高い電力タリフを払わされたあげくに大停電までにまで見まわれたと、厳しく現政権の電力政策を批判する。
  • Pinguelli教授は、「ルーラ政権は公共および庶民の利益を優先する政策をとるだろうが、それは即、民間企業に犠牲を強いるということではない。ルーラは投資家たちが恐れるような政策はとらない。(新)政府はいくつかの譲歩をしなければならないだろうが、民間企業も  節度のある態度をとらねばならないだろう」といっている。なお購入価格がドルとなっているイタイプー水力発電所の問題については、同発電所を管理するEletrobras(ブラジル中央電力公社)を通して解決策が模索されるだろうと述べている。
  • しかしPTの電力政策プログラムの中には、電力業界を心配させるものがある。その一つが、PTが提案しているMAEの廃止である。MAEは、このPTの提案に影響されてか、この2年半の期間で初めて電力売買の決済を11月22日に行うことを発表した。総額130億レアルにもなる決済額は、この日に全て各電力市場参加企業へ払われることになる。この中で、もっとも多額の決済を受けるのはEletrobras(ブラジル中央電力公社)傘下のChesf(サンフランシスコ川電力公社)とEletronorte(北部電力公社)である。
  • PTが考えている電力供給量増加プランは、政府の許可により操業している独立発電所を 公共発電サービスのコンセッションに変更し、政府が電力をブロックにして販売するというものである。そして、庶民への電力料率を低く押さえる目的から、新規の水力発電所プロジェクトのコンセッションは、もっとも廉価な電力料率を提示した入札者に与えられることになる。これは、現在送電線のコンセッションで採用されているのとほぼ同じモデルである。
  • しかし電力業界では、PTの電力モデル改革案と実際の適用の間には大きな溝があると、 危惧するものもいる。彼等はPTのアイデア、つまり国営発電と民間発電の混合案は、1996年以来240億ドルをブラジルの電力市場に投資してきた民間企業たちをして、今後新規投資するのを躊躇させることになろうと指摘している。
  • PTの政策プランは、そのほとんどはブラジルが今後年間3〜4%の経済成長(GNP)をすることを想定して作成されている。この経済成長率に合わせるためには、電力供給量は年間5%ずつ増えなければならない。しかし来年度の経済成長率は最高2%と予測されている。Pinguelli教授は、電力危機の再発はないと保証しつつも、電力モデルの改革が適切に(新 政権によって)行われなければ、電力危機の再発もあり得ると述べている。

    [原題:“Lula propõe fim do MAE"]

【NAAC-RIO小川要約】

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参考: PT(労働者党)の電力政策プログラム

電力料率

電力会社のサービス・コストをベースとする料率の復活。この料率制は電力会社および消費者にとって、不確実性ならびリスクを減少できるとPTは説明している。Pinguelli教授は、年金基金のような投資会社は、このシステムにより、電力事業への投資リスクを減らせることができると説明。

水力発電所の利用

政府の許可により操業している独立発電所を公共発電サービスのコンセッションに変更。

 MAE 
(電力卸売り市場)

MAEは、電力会社間の電力ビジネスを仲介し、将来の電力部門への投資を誘致する目的で設立されたが、今後、MAEは電力ビジネスのみに専念し、電力政策には一切関与しない。

独立発電所

全国電力システムに繋がってない、小規模の水力発電所、火力発電所、および代替エネルギー使用の発電所のみが“独立発電所”として、労働党の電力政策プログラムに含まれている。

ONS
(ブラジル全国電力オペレーター協会)

全国の電力システムを連携するONSは現在、各電力会社の代表によって管理されている。PTのプログラムでは、ONSを以前通り公共機関にもどし、それにより、ONSの 効率性を保証するとしている。 (民間電力会社の電力政策への関与を除外)

電力市場自由化

電力料率の上昇を防ぐ目的から、発電会社と配電会社間の初期契約を延長することを提案。このプログラムでは、2003年から開始予想されていた、電力自由市場を事実上 無期延期することになる。

公営電力会社の 民営化および民間電力会社の参加

PTのプログラムでは、公営電力会社の民営化は中止となる。公営電力会社は、民間 電力企業とパートナーシップを組むことを提案しており、また販売電力をブロック単位で競札することを提案している。このスキームによれば、もっとも廉価な料率を提示した 電力会社が(販売権を)落札できることになる。

電力部門への投資

公営電力会社への投資再開を予想しているPTのプログラムでは、そのためにはBNDES(ブラジル国立社会開発銀行)からの融資が必要としている。

資料:O Globo紙 2002年5月1日付より抜粋  



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