駐日ブラジル大使館通商部の活動
− さらなるブラジル・日本経済関係の緊密化をめざして

セルジオ・バヘイロス・アゼヴェード(ブラジル大使館通商部主席参事官)


      
駐日ブラジル大使館通商部(SECOM)は、非従来型のブラジル産品の日本市場向け輸出の振興と、日本市場に関心を有するブラジル企業を支援するための確固たる情報基盤の確立の二つの側面に重点を置いて活動している。

SECOM職員の役割は、ブラジルの輸出業者が日本市場に進出するに際して直面する地理的な距離、言語、コスト、高度な市場の要求への対応、他国との競争といった各種の障壁を乗り越える手助けをすることである。さらに、日本市場に進出を目論む輸出業者に対しては、日本国内の取り引き先が求める確固たる企業組織、プロ意識、長期的な視点、契約に対するフォローアップ、事業の計画性、商品の品質および外観に関する要件の遵守等について意識を改革する必要性がある。

SECOM は、従来型の産品(鉱物、鶏肉、コーヒー、大豆、柑橘ジュース等)の範囲を超えた、より付加価値の高い品目の輸出を振興することにより、ブラジルの輸出の多様化を目指している。2001年に発動した「重点輸出産品・市場プログラム」では当初は8つの優先的な産業分野を取り扱い対象として選び出した。その後の精査を通じて政府助成の対象としてソフトウェア、ファッション、宝飾品、加工食品、オーガニック食品、家具の分野に絞り込み、SECOMの人材と資金をこれ等の産品の輸出振興に振り向けた。多くの場合にはこれ等の分野は海外市場でまだ十分に認知されておらず、出先の各国で意識改革に取り組むことから始めなければならなかった。

近年の成り行きを振り返れば、2005年のルーラ大統領の日本訪問までにブラジルから50件以上の通商ミッションが来日し、これ等には700名以上の輸出業者が同行し、すべてにSECOMが支援を提供した。これらすべての代表団のためにSECOMは商談会を開催するか関係方面への訪問日程を手配し、通訳を提供し、参考資料を配布し、日本側の輸入業者に対する広報活動を実施することによって、業者単独では困難であったであろうと思われる現地側との対話の途を開くことに協力した。これ等のミッションの一部は、各々の分野別の展示会等の催しに参加するために来日したものである。ブラジル政府の立場からすれば、展示会等の催しは自国の輸出業者がそれぞれのビジネスを展開するための重要な出発点になり得ると承知している。展示会や業種別のミッションに繰り返し参加することによってブラジルのファッション、宝飾品、ソフトウェア等の業種に対する日本側の対応が目に見えて改善されていることが感じ取れる。以前はあまり重要視されなかったこれ等の業種が信頼性、品質等の面でより正当に評価されるようになりつつある。日本市場との取り引き関係が進行するためには長い熟成期間を必要とし、その意味では我々の取り組みはまだ始まったばかりだといえる。日本市場で重要なシェアを獲得し、付加価値の高いブラジル産品の輸出額が関係各方面の注目を浴びるようになるためには、まだ長い道程がある。忍耐、継続的な取り組み、長期的なビジョンが不可欠である。

通商の振興を目指してSECOMが展開してきた作業の最も重要な成果は、今までに蓄積してきた一連の市場調査の成果、各種の産品に関する情報、統計データの比較照合結果、日本市場を目指すブラジルの輸出業者向けの参考資料の蓄積等である。言語、コスト、入手の困難さ等を考えればこれ等の情報はブラジルの輸出業界にとって貴重な参考資料である。ルーラ大統領の日本訪問に先立つ2004年に、ブラジル産品の日本市場向けの輸出を支援することを目指して、2件の第一級の参考資料を作成した。一つは『日本向け輸出手引き書』であり、もう一つは『日本におけるビジネス実務手引き書』である。これ等の資料は日本を訪れたブラジルの各通商ミッションに同行した我々の経験に基づくものであり、日本におけるビジネス上のエチケットに始まり、通商上のコンタクトを円滑化するための各種の具体的なヒントを提供している。
   
燃料用エタノールは大使館が現在もっとも熱心に取り組んでいる産品である。環境上の利点、京都議定書への対応、自動車エンジンへの無害性等の特長に鑑み、関係業界、学会、政府当局と頻繁に意見交換している。米国はすでにエネルギー源としてエタノールの活用を決定しており、日本側の今後の行動に影響を及ぼす可能性がある。現時点では日本は燃料用エタノールの活用を2010年に開始する予定である。

農産物分野では30余年に及ぶ交渉の結果、日本はブラジル産のマンゴー生鮮果実に市場を開放したことが特筆に価する。2005年1月の最初の入荷は象徴的な出来事だったといえる。単なる通商上の節目の次元を超えて、農産物市場の開放に関して、日本が実施している非関税障壁の一角が取り除かれた記念碑だった。現時点では、生鮮牛肉・豚肉の市場開放に取り組んでいる。周知の如く、米国における狂牛病の発生により、日本は豪州産の牛肉にほぼ全面的に依存しており、これ等の分野では大きな市場ポテンシャルがある。訪日ミッションに対する支援、市場調査、輸入業界および政府関係者との接触、参考資料の翻訳、市場のモニタリングと大使館では日本市場への進出を目指して精力的に取り組んでいる。実務レベルでの両国間の対話はすでに開始されており、今後具体的な進捗が期待される。

最近東京に帰任した日本貿易振興機構(JETRO)サンパウロ・センターの桜井悌司前所長によれば、現地滞在中に日本の各業界がブラジルに強い関心を示している事実を確認できた旨を指摘している。日本の本社、米国の現地法人等を通じて、各企業がブラジルと接触し、輸出産品を模索している。桜井氏は関心の原因として三つの点を指摘している。第一には両国首脳の相互訪問(2004年の小泉総理のブラジル訪問と2005年のルーラ大統領の日本訪問)が挙げられる。この様な交流により、両国は経済通商関係の強化に向けた強い意欲を表明したといえる。第二には、日本経済の回復とそれにともなってブラジルに対するビジネスの拡大と現地での日本の存在感を強化することに関する民間部門の強い意欲がある。第三にはブラジルがいわゆるBRICsの一角に加えられたことである。モーガン・スタンレー社によれば、2050年にはBRICs諸国が世界経済を牛耳るであろうと予測される。

1970〜80年代にはウジミナス製鉄、セラード農業開発、日伯紙パルプ(セニブラ)、アマゾン・アルミニウム(アルブラス)、ツバロン製鉄等の戦略的な共同事業が両国間で華々しく展開された。現時点では、これ等に相当するようなパートナーシップを結ぶ展望が開けつつあるといえる。世界が直面するエネルギー問題を解決することを目指す新しい規範、すなわち桃ト生可能なグリーン・エネルギー狽ノ関してブラジルのパートナーとなるように、日本に呼び掛ける。

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「BioFach Japan 2006 ブラジルブース」

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「havaianasブランドの展示会(ブラジル大使館)

                            
(社)日本ブラジル中央協会発行 会員向け隔月刊誌
『ブラジル特報』 2006年7月号掲載



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